『「深煎りを除いてお任せ」で送っていただいておりますが、
いつも、自分の好みより苦く感じております。』
定期便をご利用いただいているお客さまから、このようなご質問をいただきました。
きゃろっとでは、スペシャルティコーヒーのフルーティーな酸味を楽しんでいただけるように味作りをしているので、定期便でお任せいただく内容は、ほとんどが『中煎り~中深煎り』の焙煎度が多い傾向にあります。
なので、こちらのお客さまにも、中煎り~中深煎りをメインにお届けしているのですが、どうしても苦みが気になっています。
どうしてでしょう?
ちなみに、焙煎度が深いほど苦みを強く感じやすく、逆に焙煎度が浅いと感じにくくなるので、焙煎度の問題ではなさそうです。
※焙煎度による味の感じ方についての記事は、こちら
苦味の原因 は?
苦味の原因のひとつが、注ぐお湯の温度です。
お湯の温度が出来上がりのコーヒーに与える影響は、精製方法や焙煎度に並んで大きく、適切な温度で淹れていないと、まるで別のコーヒーのようになってしまいます。
実はこれ、コーヒーに含まれる成分の溶けやすさに関係します。
一般的に、物質の溶けやすさは、液体の温度が上がれば上がるほど溶けやすくなります。
お塩やお砂糖を溶かすために、冷水よりも温かいお湯の方が溶けやすいもの同じですね。
これと同じことが、コーヒーにも言えます。
コーヒーの成分も、お湯の温度が高いほどたくさんの成分がよく出てきます。
美味しさの成分も、そうではない成分も…
美味しいコーヒーを飲むためには、この美味しい成分だけを抽出できたら、理想ですよね。
ということで、美味しい成分だけを抽出できる温度を知り、きちんと湯温を計測して、好みの味に調整しちゃいましょう!
お好みの味は人によって違うので、今回は注ぐお湯の温度別に、きゃろっと的に 比較実験を行いました。
ぜひこちらをご参考に、ご自身のベストポイントをお探しいただければうれしいです。
注ぐ湯温の違いによる比較実験
用意したコーヒー豆の条件
- グアテマラ・プラン・デル・グアヤボ農園 中深煎り
- 焙煎後1日目の豆を30g使用
- 業務用コーヒーミル “マルケニッヒ VTA 6S” 使用を使用し、中細挽き
91℃の場合
う~ん、やっぱり苦いです…
冷めてからは特に違いが表れてしまっていて、舌の上がチクチクするような刺すような苦みも感じるようです。
これは、温度が高かったことが原因で、心地良い苦みだけでなく、雑味成分が抽出されてしまっていることが分かりますね。
90℃以上でコーヒーを淹れることは、どの銘柄もあまりおススメできません。
87℃の場合
少し苦みを感じるけど、特に苦みの好きな方には、おススメの温度ですね!
91℃に比べると、格段にクリーンカップで、最後まで美味しく飲むことができます。
いつも定期便をご利用いただき「お任せ」でお届けの方は、中煎り~中深煎りが多いです。きゃろっとで取り扱うほとんどの銘柄は、87℃から少し低めの85℃がベストですね!
【85~87℃がおススメの定番商品】
83℃の場合
まるで、同じ焙煎度のコーヒーじゃないみたいに、苦みを感じにくくなりました。
グアヤボ農園らしいジューシーな酸味もしっかりと感じ、おススメの温度です。
もちろん余計な雑味は感じず、冷めてからも飲みやすい美味しいコーヒーを淹れることができました。
グアヤボ農園は、きゃろっとで取り扱う豆でも、少し焙煎度が深め。
だから、83~85℃くらいで淹れてもらうと、酸味と苦み、そして甘みのバランスの良さを感じることができます。
また、苦みがどうしても苦手な方でも、深煎りを80~83℃くらいで淹れていただくといいですね。苦みを感じにくくなります。
【83~85℃がおススメの定番商品】
※苦みがどうしても苦手な方は、80~83℃くらいで淹れてください
苦みは抑えて深煎りならではのコクをお楽しみいただけるコーヒーを淹れることができます
79℃の場合
んん~っ?ここまで温度を下げてしまうと、濃度が薄く感じる。
濃いめのコーヒーが好きな方には、物足りなく感じてしまうかもしれませんね。
あと、温度が低いから苦み成分は抽出されにくくなったけど、逆に酸味を感じやすくなったよね。
ここまで温度を下げてしまうと、心地良い酸味ではなく、強い酸味として感じてしまう場合があるので、あまりおススメできません。
さらに、淹れたコーヒーを注いだカップを見比べてみると、下の画像のように見た目でも、濃度の違いを見ることができました!
左から、79℃と83℃は薄く、87℃と91℃は濃く見えます。
これは、味の結果にも表れており、 87℃と91℃は濃く苦みを感じたものの、 79℃と83℃では苦みをほとんど感じませんでした。
コーヒーの成分は、温度が高いほどよく抽出され、低いほど抽出されにくいことが、実験結果にもよく出ていますね!
ただし、あまりにお湯の温度が低くなってしまうと、コーヒー自体の成分までもしっかり出すことができないので、やはり適度な温度が必要です。
また、今回は4℃ごとに温度を分ける比較実験を行いましたが、83℃~87℃の間に、苦み成分が抽出される分岐点があるようですね。
もしご自宅でお試しいただく場合、温度計をお持ちではない方は、沸騰したお湯をポットからサーバー、サーバーからポットに移し替える回数を目安とするといいですね。
1回目:94℃
2回目:90℃
3回目:86℃ ← 中煎り~中深煎りに!
4回目:83℃ ← 深煎りに!
5回目:80℃ ← 苦味が苦手な方に!
6回目:77℃
※室温23℃の室内で、ペリカンポット(容量1000ml)に800mlのお湯を沸かし、ポットからサーバー、サーバーからポットに移し替えます
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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