どれがいちばん美味しいんだろう。
道具を選びは、コーヒー選びにも似ているところがあると思います。
コーヒーの場合は、深煎りには深煎りの良さがあるし、浅煎りにも浅煎りの良さがあります。
その良さを心地良いと思うポイントは、人によって違うので、お好みで選んでいいですよね!
道具の場合も同じように、どれが優れているとか優れていないとかではありません。
色々なメーカーから、バリエーション豊かなラインナップが揃っています。
なので、味や使いやすさ、見た目の好みやシチュエーションによって、ベストなものを選んでいただいて構いません。
「でも、たくさんありすぎて…。どれを選べばいいかわからない!」
と感じている方もいらっしゃるかと思います。
今回は、どこにでも目にすることができるような代表的なドリッパーを揃えて、どのような違いがあるのかを検証です。
揃えたドリッパーは4種
- メリタ アロマフィルター AF-M 1×2 (1つ穴ドリッパー)
- カリタ 102-D (3つ穴ドリッパー)
- コーノ 名門ドリッパー
- ハリオ V60透過ドリッパー03クリア
まずは、大きく分けて、台形型と円すい型に分けることができます。
大まかな特徴として、メリタやカリタの台形型は、抽出スピードがドリッパーの形に影響します。
一方、ハリオやコーノの円すい型は、大きな1つ穴が空いており、抽出スピードをお湯を注ぐスピードで調整できます。
また、ネルフィルターに近い味わいになるとも言われていますね。
そういえば、ネルフィルターも円すい形をしています!
コーヒーの層をじっくりお湯が通るので、この形がポイントなんです。
それではまず最初に、それぞれのドリッパーのお湯の通しやすさ比較するために、ペーパーのみをセットしてお水だけを注ぐ動画を撮影しました。
約300mlのお水を一気に注ぎ、注ぎ始めてからポタっと最初の一滴が落ちてくるまでを見比べてみましょう!
台形型
容量の関係上、カリタのドリッパーは、一気にお水を注ぐことはできませんでした。
ですが、それ以上にお水の通りやすさには、差が出ましたね!
カリタの3つ穴ドリッパーは、最初の一滴目が落ちてくるまでに約30秒かかりましたが、メリタの1つ穴は4倍の約120秒です。
カリタは3つの穴、メリタは1つの穴のような数の違いによって、こんなにも差が出るんです!
また、カリタや円すい形のドリッパーは、通常、透過式という原理でコーヒーを抽出します。
(下図左)
ですが、メリタのようにドリッパー内にお湯が留まることで、抽出前半はプレスのような浸漬式の浸透圧でコーヒー成分が抽出されることが分かりますね。 (下図右)
さらに、抽出後半では、透過式とダブルで抽出されるので、濃度が出ることが考えられます。
透過式は、コーヒーのハニカム構造に、お湯を通過させることで成分を抽出する方法です。重力の力を利用し、成分を抽出する力が強い!
浸漬法は、『濃度の高いハニカム構造の内部』と『濃度の低いお湯』との濃度差を均一にしようとする働きから成分を抽出する方法です。
浸透圧の力を利用し、 成分を抽出する力は弱い!
円すい型
コーノのドリッパーは約30秒、ハリオのV60が約22秒かかりました。
こちらはわずかな違い。
先ほどの、 カリタの3つ穴ドリッパーに近い経過時間でしたが、コーヒー粉が入ることでどのような違いが出るのか、とっても楽しみですね!
なお、コーノとハリオの違いについては、ドリッパー内側にあるリブの形状にあると考えられます。
下の画像のように、コーノは下の方だけに真っすぐなリブが。
ハリオは、下から上までらせん状のリブが見られますね。
下から上までリブがあることで、お湯を注いだ際、ドリッパーの内側にペーパーが貼り付くことを防ぎます。
右の画像の白抜きの箇所に空気の層ができ、ここがお湯の通り道になります。
お湯の通り道を作り、スッとお湯を通すことで、スッキリした味わいになることが予想されますね。
リブの違いもあるので、これがどのような味の違いになるのか。
それぞれのドリッパーの特徴は?
用意したコーヒー豆の条件
- グアテマラ・プラン・デル・グアヤボ農園 中深煎り
- 焙煎後1日目の豆を40g使用
- 業務用コーヒーミル “マルケニッヒ VTA 6S” 使用を使用し、中細挽き
- 40gのコーヒー粉に対し、1湯目は60mlのお湯を注ぐ
- 蒸らしが終わったら、90mlのお湯を2回に分けて注ぐ
- 150mlのコーヒー液が抽出されたら、ドリッパーを外す
- 3に300mlのお湯を足し、450mlで完成!
メリタ アロマフィルター(台形型1つ穴)
お湯の通りが最も遅いメリタのドリッパーは、抽出時間が約2分10秒。
予想通り、ゆっくりと抽出される分、濃度が出たね!
濃いめのコーヒーが好きな方には、おススメです^^
濃度が出た反面、雑味まで出てるみたい。
ドリッパーの構造上、浸漬式で成分を出し、さらに透過式で出し切ったら、そうだよね。
きゃろっとのコーヒーにはあまりないけど、極浅煎りのコーヒーがお手元に合った場合は、メリタのドリッパーを使うといいですね!
また、お湯が流れるスピードが制限されているので、誰が淹れても同じ味になる『安定性』に優れていると言えるよね。
カリタ ( 台形型 3つ穴)
こちらの抽出時間は、約1分46秒。
先ほどのメリタに比べて、さっぱりした印象です。
このさっぱりさが、物足りなく感じてしまうこともあるかもしれないね。
カリタのドリッパーは、どこにでも見ることができるので、ハンドドリップをお手軽に始めるにはコレかもしれませんね!
コーノ 名門ドリッパー (円すい型)
カフェでも販売しているKONOのドリッパーは、何度も飲み比べしたドリッパーのひとつ。
抽出時間は、約1分40秒。一番早く抽出が終わったけど、
クリーンさだけではなく、フレーバーも感じ、バランスの良さを感じます。
さすが、ネルで淹れたコーヒーを再現するために、研究されたドリッパーといった感じだよね。
きゃろっとでは、ネルフィルターをおススメしているけど、一番ネルフィルターの味に近い!
なかなかネルには手が出せず、ペーパーで淹れている場合は、おススメのドリッパーだね^^
ハリオ V60(円すい型)
KONOと何度も飲み比べたハリオのV60の抽出時間は、約1分50秒。
甲乙つけがたいほど、美味しく淹れることができます。
違いがあるとすれば、KONOに比べて、複雑な味わいになることかな~。
クリーンなコーヒーが好きな方には、これが逆に、雑味にも感じるかもしれないね。
ドリッパーの構造から予想した味とは違ったよね。リブがあるから、お湯の通りが早く、スッキリするかと思ったら逆だった。
コーヒーを淹れる時、表面に出てくる泡が雑味とされているけど、
①ハリオのように上までリブがあると雑味まで流れ出てしまっている
②KONOは下方のみにリブがあるから、雑味成分は横から抽出されず、コーヒー粉によって濾され、クリーンなコーヒーに仕上がる
この2つの理由から、味わいに違いが出たことが考えられるよね。
例えば、 朝のコーヒータイムは、コーヒーの風味をしっかりと感じることができるハリオでしゃきっと!
仕事から帰ってきたら、KONOで淹れたクリーンなコーヒーでリラックス。
というように、使い分けてもOKですよね^^
ご参考になりましたでしょうか。
実を言うと、各ドリッパーの差はほんのわずかなものでもあります。
どれが一番優れていて、優れていないということは全くなく、あなたにとってどのドリッパーで淹れたコーヒーが好みなのか。
これに尽きます。
もしあなたが、今ドリッパー選びに迷っていたなら、どうぞ肩肘張らずに一呼吸。
お気軽な気持ちで直感的にお選びくださいね。
きゃろっと的におススメのドリッパーは、 個性がしっかり感じられながらもクリーンなコーヒーを淹れることが出来るKONOさんのドリッパーです!
本当はネルがいちばんおススメだけど、まずはネルに一番近いKONOをお試しいただくのも選択肢ですよ^^
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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