カフェインレスコーヒーを飲んだことのある方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。
「どうやって作られているのか分からないし、なんか飲むのが不安だなぁ。」
「普通のコーヒーを飲めない人が、我慢して飲むやつでしょ。」
「いつも買っているコーヒーより、美味しくないんじゃない?」
そんな方こそ、今回の記事を読んで、カフェインレスコーヒーのことを知っていただきたいんです。
早速ですが、カフェインレスコーヒーってどのようなイメージがありますか?
通常のレギュラーコーヒーに比べると、香りや風味の点でどうしても劣っているイメージが先行してしまいますが、実は美味しいコーヒーの原料や処理の方法も増えてきて、安心安全に美味しいカフェインレスコーヒーが飲めるようになってきているんですよ。
また、その基準はとても厳格に決められていて、日本では、カフェイン除去率90%以上のものをカフェインレスということができます。
コーヒーにはもともと、約1.0~1.5%のカフェインが含まれているので、0.1%以下にする必要があるということですね。
この数字だけ見ても、カフェインレスとして出来上がることが、いかに大変なことかよくわかるかと思います。
カフェインレス?デカフェ?ノンカフェイン?
近年、カフェインレス飲料の普及で、様々な呼び方のものが増えてきましたね。
きゃろっとでも取り扱っている「カフェインレスコーヒー」だけでなく、「デカフェ」や「ノンカフェイン」という言葉も目にします。
これって、どのような違いがあるのでしょうか。
つまり、カフェインレスやデカフェはごく微量のカフェインが含まれたもの。
ノンカフェインは、全く含まれていないものということです。
カフェインが身体に与える影響
この記事をご覧いただいているということは、カフェイン摂取による身体への影響を気にされているかと思います。
コーヒーの歴史では、「ヤギ使いのヤギが、コーヒーチェリーを食べたら、飛び跳ねて興奮した」というような伝説が残っているように、コーヒーの覚醒成分が身体に与える影響は少なくないようです。
実は僕も、十数年前の受験の時には、にがーいブラックコーヒーを飲んで、受験勉強に臨んだ記憶があります。
カフェインを摂取することで目が覚めて集中力が増したり、 逆に妊娠中には控えなければいけないということもよく耳にしますね。
それでは、次にカフェインが身体にどのような影響を与えるのか。
具体的に見てみましょう!
まずは、メリット(効能)から。
- リラックス効果
- 覚醒作用
- 自律神経向上
- 胃酸分泌促進作用
- 抗酸化作用、がん予防、認知症予防
確かに、コーヒーは挽いた瞬間から香りに癒され、味に癒され、ホッとしますよね~。
また近年では、コーヒーが様々な病気に対して予防効果があるとされる研究も進んでいますね。
このような研究がどんどん進んでいくと嬉しいです。
ですが、適度に摂取をすることで、適切な効能があるんですよ!
飲みすぎたり、身体や時間に合わない飲み方をしてしまうと、次のようなデメリットにもなってしまうので、注意してくださいね。
- 覚醒作用によって、眠れなくなってしまう
- 鉄分不足を引き起こし、貧血を促す
- のどが痛い時に摂取すると、のどが荒れる
- 空腹時に摂取すると、胃が荒れる
- 妊娠中のリスク
それでも、
「どうしてもコーヒーを飲みたい」
「コーヒーが、リラックスするためには欠かせない」
という方のために、カフェインレスコーヒーという商品があるんです!
カフェインレスコントロールという言葉があるように、カフェインの摂取量をゼロにするのではなく、摂取する量やタイミングをコントロールして、健康に配慮をした生活を楽しむと良いですね。
通常のコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーを適度に取り入れることで、ストレスなくカフェインの摂取量をコントロールすることができます。
また、カフェインの影響は、人によっても異なるので、見極めが重要です。
例えば、ぼくは夜中コーヒーを飲んでも全然眠ることができますが、妻のバリスタさーやんは眠れなくなるので、夜の摂取を控えるようにしています。
さらに、コーヒーの摂取量による影響も違うんです。
バリスタさーやんは、仕事柄、コーヒーの味合わせをよくすることがあります。
でも、あまり多く飲みすぎてしまうと、クラクラしてきてしまうことがあるんですが、ぼくは飲みすぎて気持ち悪くなることはあまりないし、カッピングをたくさんしても大丈夫!
なので、自分の中でカフェイン摂取量の目安のようなものがあれば、ストレスなくお楽しみいただくことができますね。
どのように作られているの?その処理方法は身体には悪くないの?
一般的なカフェインの除去方法は、大きく分けて3種類です。
いずれも、焙煎前の生豆の状態で処理されて、カフェインレスコーヒーとなります。
また、通常の生豆は左の緑色っぽい見た目ですが、カフェインを抜く過程で、一度水分を含ませて乾燥させるため、右のように茶色っぽくシワシワしているんですよ。
きゃろっとで取り扱っているカフェインレスは、どの方法で作られたコーヒーでしょうか。
水を使ってカフェインを除去
カフェインが水に溶けやすい性質を利用して、カフェインを除去します。
簡単に説明すると…、
・生豆を長時間水に浸し、コーヒーの含まれる成分を抽出
・抽出された成分からカフェインだけを取り除く
・残った成分を生豆に戻す
このように、基本的には水だけを使用しているので、安心していただける処理方法として知られています。
さらに、細分化すると、「マウンテンウォータープロセス」と「スイスウォータープロセス」という2種類の方法があります。
この2種類のカフェイン除去方法の詳細もとても面白いのですが、別の記事でご紹介いたしますね!
それぞれの違いは、
マウンテンウォータープロセスが、生豆を加圧、加熱してカフェイン除去しているのに対して、
スイスウォータープロセス は、水溶液を繰り返し通して除去している点。
どちらが優れているということはありませんので、もし迷った際にはお好みでお選びくださいね。
二酸化炭素を使ってカフェインを除去
比較的新しい方法で、ちょっと難しい仕組みなのですが、圧力をかけた水と二酸化炭素(超臨界状態)を用いてカフェインを除去します。
難しい言葉が出てきましたね~。
水で除去する方法に比べると、名前のイメージがなんとなくよくない印象がありますが、こちらも安心していただけるカフェイン除去の方法のひとつです。
この方法は説明するとややこしいのですが、例えば、エスプレッソは高温高圧の水を使ってコーヒーエキスを濃厚に抽出していますよね。
それと同じように、圧力をかけた水と二酸化炭素を用いて、カフェインを抽出除去することができるんです!
使用するのは水と二酸化炭素なので、安心なだけでなく、風味も落ちにくく、環境にもいい方法と言われていて、近年取り扱っているコーヒー屋さんもどんどん増えてきていますね。
ここで、もう1歩。「超臨界状態」ってなんでしょ?
とはいっても、超臨界って言葉。「原子力のやつ?」って思いませんか?
ご安心ください。それとは、全く異なります。
ずばり!「超臨界状態」とは、液体でも気体でもない、両方の特徴を持つ不思議状態ということなんです!(笑)
通常、二酸化炭素は、気体の状態で大気中に存在していますね。
その二酸化炭素を、人工的にある一定の温度・圧力をかけることで、液体でも気体でもない超臨界状態の二酸化炭素ができあがります。
超臨界状態の二酸化炭素は、通常では溶けにくい成分を溶かすことができるようになるので、カフェインを抜くだけでなく、様々な研究にも生かされているようですね!
現在はどうしても費用が掛かってしまうのですが、二酸化炭素は他の気体に比べ、比較的低温・低圧で超臨界状態になるので扱いやすく、これからの発展に期待です。
※ちなみに、臨界条件を調べてみると、その温度が31.1℃、圧力が7.38MPa(メガパスカル)。
温度は分かりますが、7.38MPaって1㎡の平面に約750トンの圧力なんだそうです…
非現実的な数字でした(;゚Д゚)
化学薬品を使ってカフェインを除去
まず、この方法で処理されたカフェインレスコーヒーは、輸入規制が掛かっています。
日本では販売されていないので、どうぞご安心くださいね。
ですが、安くカフェインを除去できる方法なので、現在でも海外ではこれが出回っているとか。
使用されている薬品(有機溶媒)が、ジクロロメタン(塩化メチレン)という発がん性のあるものなので、安心してお召し上がりいただくことはできませんね。
残留した薬品が身体に影響するとも言われているので、もし海外旅行に行っても、このカフェインレスコーヒーはお土産に買ってきてはいけませんよー!
きゃろっとのカフェインレスコーヒーは?
きゃろっとでカフェインレスコーヒーの販売を始める時、カフェインレスばかり10種類以上集めて、カッピングをして選びました。
「いちばん美味しいを届けたい」
その一心で、各取引先へ問い合わせをして、たくさん集めて飲み比べをしました。
その結果選んだのが、現在取り扱っているマウンテンウォータープロセスのメキシコ・カフェインレス。
※正解は1のマウンテンウォータープロセスでした
すでにお召し上がりいただいている方は、きっと実感していただいているかと思いますが、今の銘柄が美味しいことに自信はあります!
ですが、いつか二酸化炭素を使ったカフェインレスが登場する時が来るかもしれませんね!
また、ここからは余談になりますが、ぼくがグアテマラに行った時、もともとカフェインが少ない「ラウリーニャ」という品種があることを教えてもらいました。
まだまだ栽培しているコーヒーノキの本数も少なく、取り扱っている生産者も少ないそうです。
栽培方法や適した土地、精製方法が確立されていないのでしょう。
試飲をさせていただきましたところ、 2019年当時、まだ品質的に「あれっ?」って感じだったのですが、生産者も日々研究をしています。
うまく栽培できることができた日には、今後はこのような品種も増えてくるのではないでしょう。
こんなロマンのある話も、コーヒーならではですね!
長くなってしまいましたら、カフェインレスのお話いかがでしたでしょうか。
カフェインコントロールの言葉のように、みなさまの身体の状態やライフスタイルに合わせて、コーヒータイムをお楽しみくださいね。
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
みなさまの「なぜ?」をぜひお聞かせください!
▼コーヒーの疑問・質問、比較実験のリクエストはこちら
珈琲きゃろっとお問い合わせフォーム