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冷凍保存したコーヒー豆は、常温に戻す?戻さない?

僕たちは、お届けしたコーヒー豆を冷凍保存していただくことをおススメしています。
 
きゃろっとの定期便をご利用いただいている多くの方は、2品のコーヒー豆を「豆のまま」でご購入し1ヶ月で飲み切ることができているかと思いますので、常温でも大丈夫な方がほとんどですね。
 
ですが、粉の状態でご購入の場合や飲み切るのに1か月以上かかってしまう場合は、必ず冷凍保存していただくことをお願いしています。
 
冷凍することで、コーヒー豆の酸化を防ぐことができ、半年以上経過しても美味しい状態で保存することができます!
 
ところが、こんなご質問をよくいただくことがあります。
 
「冷凍した豆を挽いて、そのまま淹れても大丈夫なの?」
「常温に戻さなくても大丈夫?」
「出来上がりの温度は低くならないの?」
 
ずばり答えは、冷凍庫から取り出したら、すぐ淹れても大丈夫です。
 
今回は、冷凍と常温のコーヒー豆を使用して、保存方法がどれくらい影響があるのかを検証してみました。

なぜ冷凍保存の方が優れているのか?

▼ 「冷凍保存のデメリットとは?」は、こちら

コーヒーが酸化する要因は、湿気と温度の2つが大きく影響します。
 
まず、湿気
 
コーヒー豆の含水率は焙煎前に約11%ほどあり、焙煎することでほとんどが蒸発してしまいますが、焙煎後でも微量に含みます。(約1.0~3.0%)
 
さらに、表面にとても細かい穴が空いている多孔質の構造になっていて、挽くことで多孔質の表面積が増え、水分を吸収しやすい性質を持ちます。
 
保存方法が悪く、湿度が高い場所にコーヒー豆が置かれると、空気中の水分までも急速に吸着してしまい、酸化を促します。
 
そして、温度
 
温度が10℃上がると2倍のスピードで劣化すると言われているように、温度によってコーヒー豆の運動エネルギーが変化します。
 
このため、保存している場所の温度が高いほど、運動エネルギーが増え、化学反応により酸化してしまいます。
 
冷凍することで、コーヒー豆や空気中に含まれる水分が凍り、運動エネルギーが低下して酸化などの化学反応の速度が遅くなります。
 
食品の変化がほぼ起こらないことになるので、半年以上も美味しく召し上がることができるんですね!

では、早速試してみましょう!

用意したものは、以下の通り。
 
【コーヒー豆データ】
■焙煎日:2020/01/22
■保存開始日:2020/01/23 9:00
■抽出日:2020/1/24
■銘柄:グアヤボ農園中深煎り
■挽き具合:中細挽き
■淹れ方:きゃろっと式 完成量350mlレシピ
 →きゃろっと式って何? 
■室温:23℃
 
今回の比較でも、グアテマラ・グアヤボ農園の中深煎りを使用しました。
 
22日に焙煎したコーヒーを、翌23日に常温と冷凍でそれぞれ保存しました。
 
翌日、可能な限り同条件で抽出できるよう、僕大地が淹れていきます。

計測結果!

■コーヒー豆の表面温度
常温保存豆 → 22.7℃
冷凍保存豆 → -6.1℃

常温保存したコーヒー豆の表面温度
冷凍保存したコーヒー豆の表面温度

■挽いた直後の粉の表面温度
常温保存豆 → 26.4℃
冷凍保存豆 → 9.5℃


常温保存したコーヒー豆 を挽いた直後の表面温度

冷凍保存したコーヒー豆を挽いた直後の表面温度

■蒸らし中の粉内温度(注湯温度87℃)
常温保存豆 → 78.6℃
冷凍保存豆 → 76.5℃

常温保存の蒸らし中の粉内温度
冷凍保存の蒸らし中の粉内温度

■抽出液の温度(100ml抽出)
常温保存豆 → 49.5℃(メジャーカップが冷めていたため温度が下がってしまった)
冷凍保存豆 → 55.0℃

常温保存したコーヒーで淹れた抽出液(100ml)の温度
冷凍したコーヒーで淹れた抽出液(100ml)の温度

冷凍庫から出してすぐは表面温度に約16℃の差、挽いたあとも15℃の差があり、その温度差がなくなることはありませんでした。

コーヒーミルでコーヒー豆を砕くことによって摩擦熱が生じるので、それぞれ温度は上がっているようです。

ですが、お湯を注ぐと、その内部の温度はほぼ一緒に。

できあがった抽出液も、保存方法による温度の差が出なかったので、冷凍することにより「できあがったコーヒーがぬるい!」なんてことはありませんね。

次は、肝心の味です。

さて、そのお味はいかに!?

…なんと、全然変わりませんでしたー!
 
具体的には、お湯を注ぐと、その内部の温度はほぼ一緒に。どちらも劣化したような味は見られませんでした^^
むしろどちらもいつも通り淹れることができ、美味しかったです。

いかがでしょうか、参考になりましたか?
 
飲み切るのに、1か月以上かかってしまいそうだな~と感じた場合は、迷わず冷凍庫へ。
 
お召し上がりいただく際は、そのまま挽いて、いつも通り淹れてくださいね。
 
▼ 「冷凍保存したコーヒー豆に、そのままお湯を注いでも問題ない理由を検証してみた」は、こちら

浅野大地
浅野 大地

この記事を書いた人 
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。

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