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なぜ常温で? 水出しアイスコーヒーを冷蔵庫で抽出したらどうなる?

きゃろっとでは、水出しアイスコーヒーは「常温で」抽出するようにと伝えています。
 
昔ながらの喫茶店で見かける点滴式の水出しコーヒー「ダッチコーヒー」も店内で行われていますね。
 
では、冷蔵庫で抽出したらどうなるの?
 
衛生的にはどうなの?
 
そんな疑問から、冷蔵庫と常温での抽出比較実験をしてみました。
 
ちょっと今日もマニアックな内容デス。

抽出比較実験

方法

使用した銘柄は、6月の新銘柄インドネシア・マンデリン・ゲガラン(中深煎り)です。

  • 60gのコーヒー豆を用意し、中細挽きに
  • LLサイズのお茶パックに入れる(市販のものでも可)
  • 1.5リットルのお水に浸す
  • 冷蔵庫(4℃)室温(20℃)で一晩(15時間)放置

さて、結果は…!?

結果

見た目

やはり冷蔵庫の方が明らかに薄い色になりました。

左の2つが、冷蔵庫での抽出です。

だいたい予想通りですね。  
ということは、冷蔵庫の方が薄いのかな…??

一口ずつ飲んで、びっくり!
 
冷蔵庫のアイスコーヒーの方が「ツンっとした酸味と苦みを感じる」
 
常温のアイスコーヒーのほうが「まろやかで甘味を感じる」
 
ドリップコーヒーでいうと、冷蔵庫抽出はペーパードリップのような味わい。
常温抽出はネルドリップの味わいに近い感じです。
 
圧倒的に「常温抽出」のほうが美味しいです。

なぜこうなったのか?きゃろっと的考察

コーヒーのマウスフィール(舌触り)や甘さには、コーヒーオイル(脂質)が深く関係しています。
 
また、味覚だけではなく、香気成分も脂質が関与しています。
 
香りがコーヒーオイルとともに液体に保持されることにより、飲んだ時に鼻腔から香りを感じ、味に影響するとも言われています。
 
この「美味しさ」にかかわる脂質をはじめとするコーヒーの成分が、冷蔵庫の低温条件では抽出がされなかったと考えられます。
 
皆さんご存じの通り、油汚れはお湯でよく落ち、冷水だと中々落ちませんよね。
 
これは物質の融点(固まった物質が溶け出す温度)に関係しています。
 
油の種類によりますが、15~40℃くらいで油が溶け出すことができます。
 
そのため、冷水で洗うと油が溶けずに固まってお皿にくっついたままとなり、ベタベタがとれないんですね。
 
コーヒーも同じように、脂質をはじめとする成分が、冷蔵庫中では冷たすぎてお水に溶けだすことができなかったと考えられます。
 
コーヒーは、まだまだ解明されていない成分が多数あるのですが、20℃では溶け出すけど、5℃では溶け出さない成分があるということですね。

常温抽出は衛生面ではどうなのか?

気になるのは、真夏の暑い日でも大丈夫なのか?という点ですよね。
 
実は、水出しコーヒーによる細菌増殖の研究結果がないため、確かな情報はないので、参考として下記のデータを記載しますね。  


水道水は常温で3日、冷蔵で10日程度保存できると言われています。


東京都水道局

細菌には、それぞれ増殖に適した温度がありますが、30~40℃が至適温度で、増殖しやすい菌が多いです。
 
そのため、室温が30℃を越えてしまうような場合は、やはり、冷蔵庫での抽出が良いかもしれません。
 
また、今回の実験は、分かりやすくするため、長時間抽出しましたが、10時間程度で美味しくできあがります。
 
抽出後は、すぐにコーヒーを取り出し、冷蔵庫へ保管しましょう。
 
実は、コーヒー自体は抗菌作用が強く、大腸菌を減少させるという研究結果も発表されています。
 
麦茶などのお茶よりも食中毒のリスクが低いと考えられます。
 
洗浄された容器と清潔な手で作って、早めにお召し上がりいただければ、そこまで心配ないかもしれません。
 
昔から喫茶店で抽出するダッチコーヒーも、10時間~20時間かけて常温で抽出されていることを考えると納得でもありますね。
 
もちろん、私たちも自分たちの手で細菌検査をした訳ではありませんので、心配な方は冷蔵庫で抽出し、お早目にお召し上がりくださいね。
 
夏も安全に、美味しくコーヒータイムをお過ごしくださいね♪

参考
全日本コーヒー協会 コーヒーのこと からだのこと
(東海大学医学部の石井直明氏グループピロリ菌、大腸菌とコーヒーの抗菌作用の関連性)