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この人に会いたくて来たグアテマラ2019④

ドナドさんの人生とコーヒー農園


グアヤボ農園の締めは、私バリスタさぁやんがさせていただきますね。
大好きなグアヤボ農園に訪問することで、今まで以上に想い入れのあるコーヒーとなりました。
 
ドナドさんが農園をスタートしたのは、約40年前だそうです。
 
なんと、それまで、カルダモンのトレーダーをしていたそうです。
「本当にカラフルなカルダモンがたっくさんあったんだ。」懐かしそうに話すドナドさん。

しかし、戦争が始まると事態は急変。カルダモンを売ることができなくなり、仕事がない日々が続きました。そこで、この山でコーヒー栽培をはじめることを決意したそうです。

とは、言っても、信じられないほどの急斜面!
「始めるのは簡単じゃなかったのですよね?」

「もちろん、大変なことばかりだったよ。この急斜面の崖にコーヒーを植えなくちゃならないからね。苗を運ぶと言っても、今だってトラクターも入らないような場所だろう?昔は、馬に乗せて1日何往復もして苗を運んだよ。」

また、農園の入口からコーヒーが植えられてある山までの道が非常に険しいのです。
四駆のトラックでも、飛び跳ねる位のガタガタ道を入り口から約1時間かけて、コーヒーの植えてある畑に到着します。

その険しい山道も、たった一人で自分自身の手で作り、守り続けてきました。

「この道がないと、山へ行けないからね。だから、40年間、毎年雨季が終わったあとに、直しているんですよ。これも大切な仕事だからね」

グアヤボ農園は、スチタン火山の山肌にあります。
これまで何度も噴火をしてきた山麓には、大きな火山岩がゴロゴロ。
これを一人で切り開いたんなんて、信じられません。

何十年も、ワーカーさん達に支えられながら、経営はお一人でされてきたドナドさん。

ドナドさんのところへ訪ねる前に、「数年前に来たときには、跡取りが居なかったんですよね。」と商社の方から聞いていたので心配していましたが、先日の投稿の通り、息子さんがあとを継ぐために戻って来ていらっしゃいました。

「息子さんが戻ってきて、いかがですか?」

その質問に、深く頷き
「ブエノ、ブエノ、ブエノ」と、ドナドさん。

ブエノは、スペイン語でとても良いということ。
「今まで一人でしていた仕事を、彼が手伝ってくれて、本当に助かっている。アメリカで勉強し、彼は農業博士も取得しているから、知識も豊富でね」

なんだか誇らしげに、そして嬉しそうに息子さんの話をするドナドさんの姿が、目に焼き付いています。

  毎日、山に足を運ぶドナドさん。「自分のコーヒーは飲むの?」という質問には
「もちろん!毎日、小さな家庭用の焙煎機で焙煎して、直火エスプレッソマシンで飲んでいるよ」とニコリ。
 
2匹のワンちゃんと一緒に、コーヒーを楽しむドナドさんの姿が、目に浮かびました。
ドナドさんのとても満たされた顔は、私たちの想像をも絶するような苦労を乗り越え、それを苦と思わず、日々の幸せとして暮らしているからなのかな。そんな風にさえ、思わせてくれました。
 
ドナドさんが大切に作り上げた農園。
大切に育てているコーヒー。
 
グアヤボ農園から届くコーヒー豆は、ドナドさんが大切に作ったコーヒー豆を、おすそ分けしてもらっているんだなぁ。
実家のおじいちゃんが、大切に畑で育てた野菜を箱に詰めて贈ってくれている。
それに似た感覚になりました。
 
「きゃろっとで沢山の方に愛されている、人気ナンバーワンのコーヒーなんですよ。」
そう伝えると、目を細めて何度も何度も「グラシアス(ありがとう)」と言って下さり、大きなゴツゴツとした温かな手で握手をしてくれました。これから、息子さんも一緒に、この農園を続けていくんだろうなぁ。
 
約10年間販売を続け、リピーターの最も多い銘柄「グアテマラ・グアヤボ農園」
このコーヒーが、これからも自信を持ってお客様に届けられる素晴らしいコーヒーであること。自分の目で見て、肌で感じて来まし。

グアテマラに住む、おじいちゃんから毎年届く贈り物。
少しでも、この様子やドナドファミリーのお人柄が、グアヤボを愛飲するあなたに伝わりますように。

浅野大地
浅野 大地

この記事を書いた人 
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。

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