ぼくは、現場の様子を何も知らずに、細かいことばかりに目を向けてしまっていました。
それに気づいたことが、大きな収穫です。
ぼくがきゃろっとに入社した頃、グアヤボ農園の取り扱いは、すでにありました。
「うわーっ、うんまそうだなぁ〜」
この銘柄を焙煎するたびに、大きくてふっくらと膨らんだコーヒー豆に、いつもそう思っていました。
今でも、焼けたぷっくりとした豆に、ついつい淹れたくなります。
もちろん品質は、みなさんからたくさんのご感想をいただいているので、ご存知ですよね^_^
こちらの銘柄は、パカスとマラゴジペという大粒の品種を掛け合わせた品種です。
繊細な酸味とふくよかな甘さ、ボディ感が特徴のコーヒーですね!
ですが、年によっては、小さな豆が混じることがあったり、味の表情が若干異なることがあります。
もちろん、きゃろっと内でもカッピングをし、品質チェックを行っているうえで販売しています。
美味しいのは、分かっていても、あの立派な大きな豆の姿もグアヤボ農園の特徴だと思っていたので、少し気になっていました。
ですが、今回グアヤボ農園を訪問して、ぼくの考えは、180度ひっくり返りました。
これまでにも紹介してきたように、この農園はとんでもなく急な斜面にあります。さらに高標高の山地に位置するため、決して育てやすい場所ではなかったと思います。
ドナドさんも「1番苦労したことは、若い木を育てること。植樹してすぐは約30%がだめになってしまうんだ」と当時を思い起こして、感慨深そうに話してくれました。
元々、決して雨の多い地域ではなく、まだ耐性のない希少な若い木を植えるには、本当に酷な環境だったようです。
でもそんな過酷な環境を生き抜いたコーヒーノキは、上に登れば登るほど、生き生きしていきました。
南に向いた斜面に植えられたコーヒーの葉は、太陽光を浴びてキラキラと輝いているようにも見えました。
畑では、実ったチェリーを見たドナドさんが「これから10月くらいにかけて、まだまだ大きくなるんだ。」と自信を持った顔で見せてくれました。
たわわに実ったチェリーを見ると、今年の出来の良さを予感させます。
転んでお尻を打って転ぶくらいの急斜面で、原生林のようなコーヒー農園。
自然と一体化したこの農園の様子に、そりゃあ、豆の大きさも年によっての表情の違いがあって当然。
あの元気なコーヒーノキを見ていると、豆の大きさにこだわることは、本質から逸れた見方をしていた自分に気が付きました。
そもそも、スペシャルティコーヒーの仕組みができる前は、標高や豆の大きさ見た目だけで品質が決められ、味を楽しむはずであるコーヒーなのに、味の評価はありませんでした。
逆にスペシャルティコーヒーは、味だけが評価の全てとなります。
そんな事を思いながら、バイヤーのゴンザロにも豆の大きさのことを聞いたところ「コーヒーで重要なのは味だからね。美味しいかが大切だよ」と。
毎年、少しずつ違った個性が出ることも、農産物である、コーヒーの楽しみの一つなのかもしれませんね。
「お、今年のドナドさんから届いたコーヒーはこんな味だ!」って。
こんな現場の様子。
見なければ分からなかったし、見ることができてよかったと心底思いました。
今回の豆の大きさだけではなく、ものごとの本質を忘れない大切さを改めて気付かされました。
グアヤボ農園訪問記もそろそろ大詰め。
最後はどんな話になるでしょうか^_^
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
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日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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