突然ですが、僕はグアテマラのコーヒーが大好きです。
もちろんグアテマラの味が好きなんだけど、ケニアだってコスタリカだって好き。
どうしてグアテマラなんだろうとしばらく考えていると、その理由を思い出しました。
グアテマラコーヒーとの出会いは、きゃろっとに入社する2年前のことです。
僕には、年子の弟がいます。
弟は、とても物好きな性格で、何かを始めるとのめり込んでしまうタイプです。
僕も同じくらいのめり込むタイプですが、同じくらい物好き(笑)
そんな弟が、ある日突然コーヒーメーカーとコーヒー豆を買ってきて、コーヒーを淹れ始めました。
当時の僕は、ほとんど興味がなかったため、あまり深く聞くことはありませんでしたが
「なんのコーヒーなの?グアテマラ?ふーん。」
くらいの印象だったことを覚えています。
グアテマラのことをコーヒー生産地として、はっきりと覚えているのは、この時からだったことを今でも覚えています。
こんな長い付き合いのグアテマラコーヒーは、きゃろっとに入社すると「これがグアテマラか。あのとき弟が夢中になっていたのは、この味なんだなぁ。」
と、初めてスペシャルティコーヒーの味として認識したコーヒーでもありました。
アンティグア最古の農園
僕の思い出の味でもあるグアテマラを代表するコーヒー生産地アンティグア。
今回は、フィラデルフィア農園をご紹介いたします!
先日のグアテマラ訪問では、農園の所有するおっきなホテルにも宿泊させていただきました。
その様子は、後日改めてご紹介いたしますね。
さて、「フィラデルフィア農園?聞いたことないけど、きゃろっととなんの関係があるの?」と思った方は、鋭いですね^^
きゃろっとで、この名前では取り扱ったことがありませんが、「グアテマラ・クプラ農園」でしたら、もしかしたら覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
クプラ農園という名前は、フィラデルフィア農園の中でももっとの標高の高い区画で収穫された高品質のコーヒーだけに特別に与えられます。
農園内の標高や品種、精製方法などでロット分けをしています。
3台の焙煎機を所有し、品質管理をするためのラボでは、いろいろな抽出方法試すことが可能なので、細かい管理が可能になっています
これぞ、信頼の品質。だから、美味しいんですね~^^
このフィラディルフィア農園は、アンティグアでも最も大きな農園のひとつです。
なんと約170年前、日本がまだちょんまげをしている時代から、この農園ではコーヒー栽培を始めています。
アンティグアで一番最初にコーヒー農園を始めた、とってもとっても由緒ある農園なんですね。
伝統的な栽培方法や精製方法を大事に守っている中、新たな区画開拓や新品種の植樹、アフリカンベッドの新設など、次々へと新しい取り組みをしていました。
いよいよフィラデルフィア農園のコーヒー作りの場へ
コーヒーチェリーの乾燥場「パティオ」
最初に見せていただいた場所では、とても綺麗なパティオを見ることができました。
通常、果肉を剥いだコーヒー生豆を乾燥するためパティオは、一面がコンクリートで出来た床です。
ですが、この農園では、焼き物のテラコッタタイルのような素材を使用していました。
「これはパティオ?普通のとは違うけど」と聞くと、「コンクリートより焼き物のほうが熱くならないから、ゆっくり乾燥出来て甘くなるんだ。」とのこと。
なるほど、グアテマラの優しい甘さはここから来ていました。
今まで見たことのないほど大きくて綺麗に整備された苗床
伝統的なブルボンやパカマラだけでなく、ラウリーニャやヴィジャサルチなど新しい品種の苗も見ることが出来ました。
苗はとても大切に育てられており、今か今かと畑に植えられる時を待っていた姿が印象的です。
それ以上に驚いたのが、ここではコーヒーノキを強い日差しから守るシェードツリーも、苗から育てていました。
ただ山を切り開いて農園にしてしまうだけではなく、なるべく自然の状態のまま、時には植樹をしながら、農園にします。
こんな環境への配慮も昔から愛されている農園ならではなのかもしれませんね。
いよいよ農園へ
スタートした苗床は、標高1600m程でしたが、急斜面をピックアップトラックでぐんぐん登っていきます。
すると、途中でバリスタさぁやんが何かに気付いたらしく、グアテマラに同行したバイヤーのゴンザロさんに聞いていました。
なんと今この農園の畑には、 主に女性が働いていて、男性の姿がないのです!
「女性は、仕事が丁寧だからだよ。収穫やハンドピックでの欠点除去は、繊細で精確な女性の力が欠かせないんだ。」とゴンザロさんは言います。
さらに、あのたくさんの苗も女性が頭の上に乗せて、人の足で農園まで運び入れ、植樹をしているとのこと。
僕たちは車で登ってきたあの道を…、と考えるとここにあるコーヒーがとてもかけがえのないものに感じます。
過去にブラジルでも見た、女性の繊細さと力強い働きっぷりが、コーヒー生産には欠かせないのですね。
女性の仕事ぶりを写真におさめることが出来ず、くやしいっ!
そして、さらに登ること約30分。
そこは、標高2000mです。
アンティグアの街並みも綺麗に見渡せる場所に、クプラ農園がありました。
標高が低い場所ではグレードの低いコーヒーを生産しているフィラデルフィア農園では、標高が高くなるにつれにつれ、周りの木々の緑が濃くなり、ツヤを増し、行き来していくのがはっきりと見ることが出来ました。
到着したクプラ農園の区画では、美しい木々がイキイキと並んで植えられ、「こんな素敵な場所で作られてくるんだ」と感慨深くもあります。
思わず出た「こんな美しい農園見たことない!」という言葉に、ゴンザロさんが「美しい木は、美しい味になるんだよ」とニコッと話します。
また、標高の高さによる昼夜の温度差と適度な湿度が、コーヒー栽培にとても条件がいい場所とのこと。
この条件で育てられたコーヒーだから、美しく育ち美しい酸味を持つコーヒーに仕上がるんですね~。
ぼくたちが農園で見た風景、あの空気、あの匂い。
コーヒーを飲んで少しでも感じていただけたらなぁ。
ぼくたちは、美味しいコーヒーをお届けするために、たくさん伝えなきゃいけない。伝えたいと思っています。
コーヒーが出来上がるまでに、たくさんの物語があり、そしてあなたの一杯になることが、ひとりでもたくさんに方に伝わると嬉しいです。
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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