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コーヒーの味を決定する大きな要因のひとつ 「抽出工程のお湯の温度について」

『お湯の温度で味が変わる気がします。
抽出を始める時や粉にお湯を注ぎ始めた時、

抽出液を割る時の温度は、何度が最適でしょうか。』

お客様からこのようなご質問をいただきました。
 
コーヒーを淹れ始める時の最適な温度はご紹介してきましたが、その工程での温度までは検証したことがありませんでしたね。
 
早速ですが、いつも通り淹れて、その工程ごとの温度を計測してみましょう!

用意したコーヒー豆の条件

  • グアテマラ・プラン・デル・グアヤボ農園 中深煎り
  • 焙煎後1日目の豆を40g使用
  • 業務用コーヒーミル “マルケニッヒ VTA 6S” を使用し、中細挽き
  • 室温22.5℃

87℃で淹れ始めた場合の温度変化

1.40gのコーヒー粉に対し、87℃で1湯目を注ぐ

2.蒸らしが終わったら、2湯目、3湯目と注ぐ

2湯目:85.3℃

3湯目:83.3℃

3.150mlのコーヒー液が抽出されたら、抽出を止める

出来上がった抽出液:59.4℃

4.3に300mlのお湯を足し、450mlで完成!

ポットに残ったお湯:79.4℃
完成したコーヒー:70.5℃

以上のような結果となりました!

1湯目の約87.3℃から、3湯目には約83.3℃へ、徐々にお湯の温度が下がっていることが分かりましたね。

最後に、ポットに残ったお湯(79.4℃)を再沸騰せずにそのまま差し湯すると、飲みやすく、かつ酸味や甘みを感じやすい温度(70.5℃)に仕上がります。

コーヒーの酸味や甘みがもっとも感じる温度が、72℃とされているので、まさに飲みごろ!

もし熱々のコーヒーがお好きな方は、ポットに残ったお湯を再沸騰してから差し湯していただくと、約80℃と熱々のコーヒーに仕上がりますね。

▼過去の記事 「コーヒーがぬるい。そんな時、あなたならどうする?」は、こちら

また、比較実験として87℃をキープして淹れることが出来たらよかったのですが、キープしながら注ぐことがとても難しく、再現性が低いので諦めることに…

87℃をキープして淹れたらどうなる?!

ここからはきゃろっと的な予想となりますが、87℃でキープして淹れた場合、通常通り淹れた時と比べ、雑味を感じるようになることが考えられます。

淹れ方の紹介でもご説明しているのですが、コーヒーの美味しい成分は抽出の前半でほとんど出てしまいます。

後半になればなるほど、美味しい成分は減り、最後は雑味や渋み成分たっぷりの透明の液体になります。

ドリップされている液体をよく観察するとわかるのですが、前半は濃い茶色、後半は徐々に薄くなることが分かります。

だから、きゃろっと式では、途中でドリップを止めて差し湯をすることで、クリーンなコーヒーになるんですよ~!

このことを踏まえて予想すると...

87℃で淹れ始めた場合、後半は85℃以下になり、抽出効率が若干落ちてきます。
雑味や渋味を出し過ぎない、ちょうどいい温度に下がっていくのですね。

ところが、87℃をキープすることで、後半までしっかり抽出することになります。
こうなると、後半の雑味や渋みが出てしまうのではないだろうかと考えました。

今回は、比較実験までが実施できなかったので、はっきりとした結果にはなりませんでしたが、コーヒーを淹れる際のご参考になれば幸いです。

浅野大地
浅野 大地

この記事を書いた人 
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。

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