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\くるべさマニュアル/酸味のないコーヒーが欲しい

こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
さて、今回もお客さまからのご連絡と、きゃろっとからの返信から見ていきましょう!

定期便ご利用のお客さま
定期便ご利用のお客さま

こんにちは!定期便で酸味の無いコーヒーだけを内倉にお任せで送って欲しいんですけど、できますか?

大石広土
きゃろっと
大石広土

申し訳ありません…!
内倉にお任せは味や焙煎度のご指定はご容赦いただいております。定番品をご用意しておりまして、お客様にそちらからのチョイスをお願いしている次第です。


上記のように「酸味の無いコーヒーだけを送ってください」というご要望をいただくことがあります。

その場合、月替わりの「内倉にお任せ」では対応ができず、定番品からお客様にお選びいただくようにお願いをしております。


酸味の無いコーヒーで、定番品からお選びいただく際にオススメしたいのは、焙煎度が深めのコーヒーです。一般的にコーヒーの焙煎が深くなるほど酸味が少なくなり、 苦味のある力強い味わいになっていきます。

その為「深煎り」の銘柄か、もう少し酸味があっても大丈夫であれば「中深煎り」の銘柄からお選びいただくのがオススメです。

※定番品についての詳しくまとめたページはこちらをぜひご覧ください。
※定番品の場合、月替わりではなく、毎月同じ銘柄をお届け致します。

コーヒーは嗜好品という側面上、お好みがあって然りです。僕たちも、できる限りお客様のお好みに合ったコーヒーをご用意したいと考えていますので、ぜひ「定番品」等を通じて、定期便をご活用いただけましたら嬉しいです。

ただ、コーヒーの「酸味」については誤解されてしまっていこることが多くありますので、今一度お伝え出来らば…とも思っています。

「おいしくない酸味」と「おいしい酸味」

内倉大輔
内倉大輔

ここからは僕が作成している、きゃろっとのメールマガジン「コーヒーの常識は非常識!?」の抜粋から説明していきます。


まず、一口に酸味と言っても実は色々な種類の味わいがあります。

クロロゲン酸、ギ酸、酢酸、リンゴ酸、キナ酸などなど沢山の酸の成分が 焙煎中の化学変化によって生成されます。

ただ、今回は分かりやすく2種類の「おいしくない酸味」と「おいしい酸味」に分けてお話していきたいと思います。

では、まず「おいしくない酸味」についてお話していきますね。

「おいしくない酸味」 の原因


この「おいしくない酸味」、さらに2種類に分類できます。

それは「時間経過により酸化したことが原因の酸味」もうひとつは「焙煎不良が原因の酸味」です。

まず 、時間経過により酸化したことが原因の酸味 。焙煎から時間が経ち、酸化してしまった豆を飲んだときに、この酸味を感じます。

コーヒー豆というのは、焙煎後から徐々に酸化が進んでいきます。そして、酸化したコーヒーは不快な「酸っぱさ」が出てきてしまいます。この不快な酸味(酸っぱさ)が、コーヒーの酸味だと思っている方が非常に多いです。

では、焙煎したての新鮮なコーヒー豆ならば「おいしい酸味」になるのでしょうか?…実はそう単純ではありません。

先ほど記載したように、もう一つの「おいしくない酸味」となる「焙煎不良が原因の酸味」があります。

新鮮な豆でも、豆の芯だけ生焼けの状態になった場合や、 焙煎中の「酸の生成」が適切に行われなかった場合は、 鋭い舌を指すような不快な酸味を感じます。

これが「おいしくない酸味」の2つめの原因です。

では、「おいしい酸味」って?

次に「おいしい酸味」です。

おいしい酸味は、そのコーヒー豆が本来持っている個性の酸味です。ただし、この酸の魅力を引き出すためには適切な焙煎が不可欠です。

コーヒーの焙煎時には、熱による化学変化によって、沢山の有機酸が生成されます。これらの有機酸の中には、人間の舌に好ましく感じるものと、不快に感じるものがあります。つまり、人間の舌に心地よいと感じる酸のみを生成するように焙煎することが 僕らロースターの仕事なわけです。

コーヒー豆が本来持つ良質な酸味には柑橘系の酸味と同じで、ほのかに甘味があります。この酸味を知らない人は結構多いです。

当店に、初めていらっしゃるお客様の多くも「酸化した酸味」や「焙煎不良の酸味」をイメージされている方が多いです。そういうお客様に、良質な酸味を持つ新鮮なコーヒーをご試飲頂くと、ほとんどの方が「おいしい!」と言って下さいます。

そうなんです。コーヒーの酸味は誤解されているんですね。


コーヒーの国際品評会などにおいても評価の大きなウエイトを占めるのが、 この「酸味」という項目です。

「その豆が良質な酸を持っているか?」
「どのような質の酸なのか?」
「酸味とボディのバランスはどうか?」

という部分が、高得点を得るためには絶対に必要な項目なんです。

日本では、誤った情報や古い豆の酸化した「すっぱい」イメージから嫌われがちである 「酸味」ですが、海外では、おいしいコーヒーの条件になる最も重要な要素の一つなんですね。


きちんと焙煎されたコーヒーの酸味は酸っぱいだけの飲みにくいものではなくて「オレンジのような」とか「リンゴのような」といったようにフルーツを連想させる爽やかさがあります。

基本的に、当店の焙煎は深煎りのコーヒーでも酸味を活かすように焙煎していますが、酸味は焙煎が進むほど減少していきますから 浅煎りのコーヒーほど、豊かな酸味を感じることができます。

また、適切に焙煎された心地よい酸は 甘みを伴っているため、それが酸味である と気づかない人も多いです。

お好みに合わせて選んでいただくには?


ただ、念のためにお伝えしておきますが 「良質な酸味を味わったことがあるが それでもやっぱり酸味は苦手…」 や「コーヒーは苦味が重要」というのであれば、 定番品から「深煎り」のコーヒーをお選びいただくのが良いと思います。

浅煎りや中煎りのコーヒーは、酸味と甘みは豊かですが、苦味はほとんどありません。

「苦くないコーヒーなんてコーヒーじゃない」 という方もいらっしゃると思いますから、お好みに合わせて銘柄を選んでいただければと思います。

ただ、僕自身としては味作りの中で、全く酸味の無いコーヒーに魅力を感じないため、 当店では酸味をなくす方向の焙煎は行っていません。

「酸味のコーヒーは嫌いだと思っていたけど、飲んでみたら凄く美味しい!」 そんなふうに言って頂けると、コーヒー屋としては本当に嬉しいですね。


色々なコーヒーを飲んでいくことで、段階的に酸味が好きになっていく方も沢山いらっしゃいます。ぜひ、楽しいコーヒータイムをお過ごしいただけるよう、お好みに合わせながら色々な味わいをご賞味いただけたら幸いです。

大石 広土

この記事を書いた人 
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。

そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)

美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)

コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。

もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。