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いまさら聞けない「コーヒーを精製する」って何?

これらのコーヒー、あなたも聞き覚えのあるコーヒーはありますか?
 
これらの銘柄には、農園名やマイクロミル名のあとにおいしそうな言葉が付いていますね。
 
 
・エチオピア・イルガチェフェG1 ナチュラル
 
・コスタリカ・ハルディン・デ・アロマス イエローハニー
 
 
実はこの「ナチュラル」「ハニー」という言葉は、そのコーヒーがどのように作られてきたのかを示しています。
 
これを専門的な言葉で 「精製」 と呼んでいます。

精製の違いにより、 そのコーヒーの味の持つ香りや風味に大きく関わってきます。
 
今回はコーヒーに大きく影響を与えるこの「精製方法」についてご紹介していきたいと思います。

コーヒーの精製方法は、大きく分けて3つ !

水洗式
フルウォッシュト

フルーツ感

きゃろっと代表銘柄
・グアテマラ・グアヤボ
・コロンビア・ファティマ
・エチオピア・イルガチェフェ

半水洗式
ハニー、セミウォッシュト、パルプドナチュラル

甘さ

きゃろっと代表銘柄
・コスタリカ・アロマス
・ブラジル・ハチドリ

非水洗式
ナチュラル

香り

きゃろっと代表銘柄
・イルガチェフェ・ ナチュラル
・コスタリカ・プエンテタラス

精製方法別に銘柄を振り分けただけでも、それぞれの個性がとてもよく表れているようですね。
 
また、これらの画像は焙煎する前の生豆なのですが、見た目も少しづつ違うことが分かります。
 
水洗式の生豆はつるっとした緑色の豆ですが、非水洗式では赤みがかった薄皮のようなものが周りに付いています。
 
この薄皮の正体が、精製方法のヒミツでもあるんですよ。
 
気になる精製方法の味を想像しながら読み進めていただくと楽しいかもしれませんね。

コーヒーの精製を分ける上で一番重要な点は、どのタイミングで乾燥させるのかということです。

右図は、コーヒーチェリーの簡単な輪切りの図ですが、幾層にもなっていることが分かりますね。

下の写真のようにコーヒーチェリーの果肉を剥いてみると、ぬるぬるとした粘質(ミューシレージ)に包まれているのが分かります。

実際に口にしてみると、さくらんぼのようにやさしい酸味と甘みを感じます。

このチェリーが、精製の工程が進み緑色の生豆になるまで、どこの部分がどの段階でどのように手を加えれらて行くのでしょうか。

これまでに産地で見た最新のコーヒー精製情報も交えて、ご紹介いたしますね。

精製方法の紹介

さっぱり爽やか、水洗式(フルウォッシュト)

収穫されたコーヒーチェリーは、パルパーと呼ばれる機械で果肉を除去し、発酵槽と呼ばれる水槽にうつります。
 
水槽内の酵母や微生物などを利用して、残ったミューシレージを取り除きます。
 
パーチメントのみになったコーヒー豆は、ここで乾燥工程に移ります。
 
乾燥は、機械を使用した乾燥方法やコンクリ―トやレンガが敷き詰められたパティオ、高床式のアフリカンベッドに敷き詰めて行います。
 
工程が多いため、その中で欠点豆が取り除けるため、クセの無いクリーンな味になることが特徴です。
 
その反面、水を大量に使用し、その設備も必要になることがあります。

2019年に訪問したグアテマラでは、 パティオと呼ばれる広大な敷地の乾燥場で乾燥されています。
 
コンクリ―トやレンガでできたパティオは、太陽光を浴びて温かくなり、コーヒーを最適な状態で乾燥させることができます。

甘み浸み込む、半水洗式( ハニー、セミウォッシュト、パルプドナチュラル )

ミューシレージには、コーヒーチェリーの持つ糖分と酸味が豊かに含まれています。
 
収穫後、果肉を除去しこれを残したまま乾燥することで、肉の成分が豆に浸透し明るい酸味と独特な甘みに果変わります。
 
近年は、果肉の残し具合を調節し、品種や農園の特徴に合ったキャラクターを作り出すことも可能にしています。
 
このように味造りの面ではとても大きなメリットがありますが、やはり管理がとても大変です。
 
ミューシレージはとても傷みやすいので、適度な水分を維持しながら乾燥させるため、一日中管理が必要になり、手作業でくっ付いたコーヒー豆をもみほぐしています。
 
コスタリカでは、最もこの技術が進んでおり、ミューシレージの残し具合により呼び名が変わったり、最先端の科学技術も取り入れた味作りをしています。

毎年訪れているコスタリカのマイクロミルでは、これを防ぐために数時間に一度、人の手でもみほぐす作業をします。

きちんと管理されたコーヒーは、他では味わえない甘みたっぷりのコーヒーになります!

魅惑の香り漂う、非水洗式(ナチュラル)

収穫されたコーヒーチェリーは粗選別を行った後、パティオやアフリカンベッドで乾燥し、脱穀します。
 
その風味は特徴的で、独特の香りや甘みがきゃろっとでも人気の銘柄があります。
 
2019年の年末に限定販売したエスメラルダ農園ゲイシャやコスタリカ・プエンテタラスもそうでしたね。
 
ですが、収穫した実をそのまま乾燥するため、完全に乾燥するまでに時間がかかります。
 
この間は、天候にも左右され、最悪の場合には過発酵やカビが発生してしまい、味に大きな影響を及ぼしてしまうのです。
 
また、豆が均一でない場合も多いですね。
 
高品質なナチュラルコーヒーというのは、必然的に手間がかかり、貴重になってくるのです。

ナチュラル精製のコーヒーが広がる乾燥場は、独特のいい匂いが漂うんですよ~

きれいに乾燥されたコーヒーチェリーを見ると、手がかかっていることがよくわかります。

いかがでしたでしょうか?
 
精製方法の特徴を知ることで、焙煎度による味の違いに加えて、精製方法でもお好みのコーヒーをお選びいただくことができます。
 
きゃろっとにもたくさんの銘柄をご用意しております。
 
「今月はどれにしよう?」といつも迷ってしまうというお悩みも、選択肢が増えたことでお選びやすくなりますね。

浅野大地
浅野 大地

この記事を書いた人 
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。

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