『伝えたいのはべーグルという文化』『 ベーグルの専門家の考える「おいしいベーグル」の3つの条件』をテーマにお話を伺った前回。
トモエベーグルさんらしい独特の味わいの秘密が少し見えたように思います。 さて、今回はトモエベーグルさんの思うお客様の関係。 お店の雰囲気だけでなく、地域との繋がり方など、 お店として、そして企業としての考え方を伺ってきました。
どうぞお付き合い下さい。
「リベイク」の方法を伝えることで、ベーグルをより楽しんでもらえる
—ベーグルの美味しさへのこだわりを伺った前回。角井さんのベーグルへのこだわりを沢山聞くことができました。
ただ、ベーグルはコーヒーと同じで、家で食べる時に「ひと手間」がありますよね。コーヒーであれば、淹れ方で香味が大きく変わってきます。それは、 べーグルも同じで、その「ひと手間」で食べる時の味わいが、ガラッと変わることもあると思うのですが。
確かにその通りです。
ベーグルは焼き上がってから5,6時間後くらいに、最も香り食感が良くなるように作っています。けど、色々なライフスタイルがありますから 必ずしもそのタイミングで食べられる訳ではないですよね。
更に、通信販売やふるさと納税でお届けする場合は「冷凍」でご用意してお届けをしています。 冷凍は美味しさをキープできるから、配達には欠かせないんですよね。
お店で買っていただいた場合も、冷凍でお届けした場合でも「リベイク」いう解凍や、温めの方法が大切です。
それによって、焼きたてのように、外はパリッと中はモチッとした食感に近づけることができます。だから、できるだけわかりやすく、その「リベイク」の方法をお伝えできるように今も試行錯誤しています。
—その点はきゃろっとでも、 「コーヒーの淹れ方をどうお伝えするか」を大切に考えているので、似ている所がありますね。
確かに、そうですね。伝え方一つで全然結果が変わってしまうから、本当に大切な部分です。
少し大きな話になりますが、僕はベーグルっていう文化が、もっともっと広がって欲しいと思っているんですよね。それはトモエベーグルという店の人気が広がって欲しい、ということではなくて 「ベーグル」を食べる人が増えて欲しい、という意味合いです。
だからこそ、伝え方が大事で。当たり前ですけど、美味しく食べれないと、広がっていかないですよね。
けどベーグル自体が美味しいってなれば、ご自身でおうちでベーグルを焼いて作ってみるとか、そういう機会も増えるように思います。今はコロナでできていませんが、僕がベーグルの教室を開催するのは、そんな気持ちに寄り添うことが目的です。
その部分の僕の気持ちや考え方はスタッフの皆にも知って欲しくて、 勤務している時に見えるように貼っているくらいです。ずっと貼っているから、文字が薄くなってしまってますね(笑)
本心でベーグルっていうものが広がって欲しいと思ってます。だから コンビニでベーグルを買ってもらえるとか、身近に感じてもらえるだけで僕は嬉しいんですよね。
—どうしてそこまで、ベーグルが広がって欲しいと思うんでしょうか?
ベーグルは健康的な食べ物で、卵や乳製品を使わなくてもできます。 実際にトモエベーグルのお客様でも、アレルギーの方や健康に気を使われている方が「ここのベーグルは大丈夫だったよ」と 感想を教えて下さることがあります。
これって凄いことだと思うし、そのお客様自信も、すごく喜んでくれて。そんな喜びが広がったら、凄いことですよね。
なんというか、そういう「ベーグルの可能性」を信じてる。そういう感じでしょうか。 その可能性によって、喜んでくれる人がいるなら、ベーグルが広がって欲しいと思うし、きっかけのひとつにトモエベーグルが役に立てたら良いな、と。 そんな気持ちでいます。
—お客様からのご感想はとても励みになりますよね。
本当にそうなんですよね。 お店にいると沢山の常連さんに声をかけてもらえます。 すごく身近に感じてもらえているのが嬉しいですね。
ただベーグルを買いに来る、というよりも 何かちょっとお話しをしていってくれたり、こんなことがあったんだよって伝えてくれたり。 そんな繋がりを実感して、地域の役に立ってるなぁと思えるのは お店をやっている中ですごく嬉しいことです。
あと感想でよく言ってもらえるのが 「今まで食べてたベーグルと全然違う!」ですね。 もちろん一般的なパンとも違いますが、ベーグルとしても違いを感じてもらえて。 僕自身もいろんなお店のベーグルを食べ比べて 今のトモエベーグルの味に至っていますので、その感想は素直に嬉しいですね。
—インタビューをしている最中も、 沢山の常連さんがお店を訪れ、楽しそうにベーグルを買ってらっしゃいますね。
いやぁ、とてもありがたいです。
あのお客様は開店以来、ずっと来てくれている方ですし、 先ほどのお客様は、何カ月か前に恵庭に引っ越してきて、それから来ていただいている方ですね。
恵庭に引っ越して来る前の話しもしてくれて。 何かそういうふうに話してもらえる関係ができるのって嬉しいですね。それは僕だけじゃなくて、店に立っているスタッフや、一緒にベーグルを作るスタッフのおかげでもあります。
一緒に働く皆には、できるだけ緩やかな気持ちで働いて欲しくて。 僕自身、人を注意したり怒ったりなんて全然できないから…(笑) けど、そういうところもわかってくれて、 スタッフ同士で話し合ってくれたり、楽しそうに働いてくれてます。 そういう良い雰囲気がお客様にも伝わってるんじゃないかと、勝手に思ってます。
—確かに、いつも皆さん優しい接客で気持ちが良いですよね。 お客様、働く仲間とすごく良い関係を築いていると感じるのですが お店を出して、すぐにうまくいっていたのでしょうか?
いえいえ。そんなことは無いです。 開店当初、コーヒーのことできゃろっとさんにもたくさん相談に乗ってもらいましたね。 ありがとうございました。
オープンして、初めのうちは珍しさもあってお客様が来てくれていたんですけど、 2、3ヶ月経ってくると落ち着いて来ました。
少しずつ常連のお客様はついてくれていたんですが、 内心はどうなっていくのか心配ですよね。 製造量に限界があるし、オペレーションも整えていかないといけない。
そういったことを一つひとつ考えては実行して、人に相談しては取り入れて今の状態になってる感じです。人との縁にも恵まれて、ふるさと納税に採用されたり、札幌のデパートで扱ってもらうことになったり。そんなふうに、ちょっとずつ販路が広がって、売り上げも安定していきました。
通信販売も好評で、今では全国の方にお届けできるようになってきています。
—試行錯誤を繰り返しながら、今では全国のお客様にベーグルを届けるまで成長した『トモエベーグル」さん。それでも、変わらない角井さんのスタンスがあるから、今日も変わらずに店頭では笑顔が溢れ、地元のお客さまで賑わっています。
お話の全体を通じて、ゆったりとした雰囲気の角井さん。とても気さくで優しい雰囲気でお話してくれました。
地元から遠く離れた、恵庭という地でベーグルのお店を開業し、毎日丁寧にお客様をお迎えする。せっかくご用意するなら美味しいベーグルと作りたい。そういう、シンプルな考えを土台としていて、ブレない軸足の強さを感じました。
同時に、新しいことへの探求心や行動力は人一倍で、好奇心を大事にしながらチャレンジを続けています。
その、軸足の安定と、新しいことへ踏み出す勇気のバランスの良さが、お店に流れる安心感と、ワクワクとした期待感で溢れているんだと、お話を聞いていて納得ができました。今後のトモエベーグルさんが益々楽しみです。
今回のインタビューを終えての編集後記を作成しました。
ぜひ、そちらもご覧ください。
トモエベーグル
〒061-1373
北海道恵庭市恵み野西2丁目2−12
電話:0123-21-9129
この記事を書いた人
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。
そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)
美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)
コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。
もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。