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「ベーグル専門店が考える、美味しいべーグルの3つの条件」恵庭市恵み野トモエベーグルインタビュー ②

前回、コーヒーとベーグルのペアリングについてや、トモエベーグルさんの企業ミッションのお話を伺いました。
中でも、角井さんの個性的な経歴と、恵庭への深い愛情が印象的です。

さて、今回は角井さんが起業する際に「ベーグル」のお店にしようと決めた経緯や、 ベーグル専門店の角井さんが考える「美味しいベーグル」について お話を聞いています。


ぜひお付き合い下さい。

母のもとで修業したベーグルを、自分だけのオリジナルの味に。

店に立つ角井さん。日々、地域の方と楽しそうに顔を合わせている。

—恵庭という場所で起業しようと決めた角井さん。そこから「ベーグル」で自分でお店を開こう、となった経緯を教えてください。

埼玉県で僕の母親がベーグルのお店をやっているんですよね。「小春日和」というお店でもう10年以上営業していますが ずっと地元の方に愛されているお店です。

父と母は二人とも教員の仕事をしていたんですが、母は教員の仕事を辞めた後、パン教室に通ってベーグルのお店を出すに至りました。小さなお店からのスタートでしたが、テレビで紹介されたことをきっかけに 行列ができる店になりました。

そういう姿を知っていたからか、僕が自分で会社をやろうと思った時「ベーグルで挑戦するのも良いな」と思うようになりました。


その気持ちは、実家で母や兄と話しているうちに、だんだん強くなっていきましたね。そこから母親に習い、ベーグル作りを修行させてもらいました。

トモエベーグルのベーグルって、生地を結んだような、ちょっと変わった形をしてるんですよね。その成型方法はこの時に習ったものなんですが、それにより、生地の内側の体積が増えて、もっちりとした食感を生み出せますし皮と具材のバランスが良くなります。

細かいことですが、そいういうちょっとしたバランスの違いでベーグルのできあがりが変わってくるんですよね。

日々、母のもとで修業を積んで、やっと自分で満足したベーグルを提供できるようになりました。

角井さんのお母さんの営む「小春日和」。角井さん自身もここで修業しました。※写真はFacebookより

—ベーグルの腕を磨いて、恵庭に店を出すことになったんですね
そうですね。
大好きな恵庭という町に、自分のお店を出すことにしました。 そこで、せっかく自分のお店をオープンして、お客様に提供するベーグルなんで、 ここにしかない、トモエベーグルならではのものにしたいと考えました。

母から作り方は教えてもらいましたが そのまま出すんじゃなくて、自分なりのオリジナルにしたい。そこで、まずは小麦の配合について、すごく研究しました。

使用するのは北海道産の小麦なんですが、大きく3種類使用しています。3種類とも、役割が違ってそれぞれの比率で出来上がりのベーグルは全然変わってきます。


母は結構職人気質で、小麦の配合なども職人の勘で作り上げることができるタイプなんですが、僕はもっと細かく分析して、比率を決めていく感じです。



—ご自身を職人ではなく研究者としているのも、その部分でしょうか。
ちょっと照れますが、そうですね(笑)そんなふうに考えていると、ベーグルってずっと突き詰めていけるように思うんですよね。専門性を高めていけるようなイメージです。

それと、数値的に分析をしながら作った方が、品質を安定させられるメリットもあります。安定してるからこそ、安心してお客様に提供ができますよね。トモエベーグルでは、僕以外のスタッフがベーグルを作ることもあるんですが、とても安定していますよ。

あとは、そうですね…。小麦は農産物ですから、その年の出来によって成分は変わってきいきます。それに伴って、小麦の味や香りも毎年同じにはならないんですよね。

だからこそ、小麦を仕入れている業者さんに、できる限りの情報を貰います。成分等のデータを詳しく教えてもらって、ブレンドの配合を考えることで、より美味しく安定したベーグルを作ることに役立てています。

道産の小麦が持つ本来の香りを活かせる配合は、どうするのがベストか。
トモエベーグルらしい風味を感じるのは、どの配合がベストか。

今でも、もっと美味しく出来るんじゃないか、と探求心を持っていますが、納得の味は安定して作れています。

北海道産の小麦を3種類ブレンドし、トモエベーグルだけのオリジナルの味を作り出します。

—職人の勘ではなく、データに裏打ちされた検証を繰り返すところは きゃろっとの味作りと共通していますね。
では、きゃろっとの味作りは「毎日飲みたいコーヒー」と考えていますが、角井さんは、どんなことに気をつけて、味作りをしているんですか?

毎日飲みたいコーヒー。凄くわかりやすくて良いコンセプトですね。ベーグルも同じで、朝食で食べてもらう時に 暮らしに馴染むような、毎日食べても飽きないように、と思っています。

それと、味作りでは 僕が思う「美味しいベーグル」っていうのがあるんですね。それは…
・固すぎず、けど、しっかりした噛み応えがあること
・内側の生地にしっとり、もっちりとした食感があること
・小麦と酵母の甘さと風味が感じられること
の3つがあります。


アメリカにいる時にもベーグルはお店に並んでいましたので食べてましたが、 どうしても日本人向けではないな、と感じていました。それは骨格的な問題もあるし、日常的な食文化の違いが理由です。その後、日本に帰って来てからもベーグルを食べましたが 今度は柔らかすぎて、ベーグル本来の特徴が楽しめないな…と思っていて。


それは僕個人の好みではあるんですけど、その両方の良いところを取り入れたベーグルを作ったら きっと沢山の方に喜んでもらえるんじゃないかって思ったんですね。その良いところを満たす条件が、さっきの3つなんですよね。 だからその3つを感じられるベーグルを作ることが絶対なんです。

色とりどりのベーグル、一つひとつこだわりが詰まった手作りです。※写真はFacebookより

—理想のベーグルを作り上げるというのは、簡単ではないように思うのですが?
失敗することも、もちろんありますよ。

実はお店をオープンしてから今までで、 この条件を満たせていないときが2回ありました。凄くもったいなかったんですが、その時はお店に出せないと判断しました。 営業はもちろんせず、急遽お店はお休みです。

原因は、発酵の段階での膨らみや、 生地作りのプロセスにあったので、 今はもう、同じことは無い作り方を改善できています。そういう試行錯誤があって、今の品質にできたというのはありますね。

—なるほど、角井さんの研究や経歴の積み重ねで、今のベーグルが出来上がっているんですね。


ベーグルの味作りの奥の深さ。
更に、角井さんの品質との向き合い方がよくわかるお話のように感じました。


コーヒーもそうですがお店によって考える味作りや「美味しい」の定義が違ってきます。 ただ、そのイメージの中にある味わいを、具現化したうえで、お客様へ提供できることが もの作りの面白さのように感じます。

さて、次回はそのベーグルを通じて 角井さんが届けたい想いや考えを伺って参ります。是非ご覧ください。

↓ 次のお話はコチラ
「恵庭で作り上げる、お客さまとの温かい繋がり」 恵庭市恵み野トモエベーグルインタビュー ③

トモエベーグル
〒061-1373
北海道恵庭市恵み野西2丁目2−12
電話:0123-21-9129

大石 広土

この記事を書いた人 
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。

そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)

美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)

コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。

もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。