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「仲間が居続けたいと思ってくれる場所を作ることは、僕自身の挑戦でもあります」スープカレートムトムキキルインタビュー その3

こんにちは。きゃろっとの大石です。

札幌市清田区の人気スープカレー店「トムトムキキル」さんのインタビュー第3回目です。前回の2回目では、大きな決断となった「本気の働き方改革」について伺いました。

続いての今回は、松原さんにスタッフの方々への想いを聞いていこうと思います。

飲食店では「人手不足」だったり「求人を出してもなかなか人が集まらない」という悩みをよく聞きます。

ですが、トムトムキキルさんは、勤務している人数は お店の規模からすると見てもずっと多く、尚且つ、 働くスタッフのみなさんが、いつも楽しそうなのが印象的です。

「こんな人と働きたいなぁと思ったら、そういう人が来てくれるんですよ。」

そう話す松原さんに、一緒に働くスタッフとの関係性や想いをお伺いしました。

「もっと感謝を伝えよう」
大きなショックから気付いた、一人ひとりの仲間に もっと真正面から向き合う気持ち。

—前回お伺いした本気の働き方改革。とても興味深く、勉強になりました。
そして、その改革に取り組んだ理由の一つに、一緒に働く仲間への想いがありましたね。


そうですね。
僕は本当にラッキーで、すごく恵まれた仲間と一緒にカレー屋を営めています。 とても運が良いと思います。本当にすごく良い仲間なんです。
けど、同時に思ったんですよね。「あれ?僕は感謝をちゃんと伝えられてるか」と。「良い仲間に甘えていないか?」ということです。


自分で創業したお店。大事です。当たり前ですが一生懸命営業します。けど、その分、力んでしまって、細かいところが気になって…。周りが見えなくなっていたところもいっぱいありました。

—そのことに気が付く きっかけがあったのでしょうか?

はい。
きっかけの一つとして、20年来の友人でもある社員が辞めてしまった、ということがあります。
トムトムキキルの厨房は僕とその友人で回してましたし、スタッフの中でも柱となって支えてくれていました。僕だけじゃなくて、皆もすごく頼りにしてて。

親友なのでツーカーで気持ちもわかってくれて、やりたいことなんかもすぐ理解してくれてました。 だから、僕も その友人のことをわかっているつもりでいたんですね。

けど、僕が「家族を大事にしているから、やりたくないこと」は、その友人が代わりにやってくれてたんです。
例えば、僕が夜は子供とお風呂に入ってご飯を食べたいと思ったら、友人が夜営業のお店を回してくれる。


そんなふうに、ずっと一緒に働いてたし、ずっと応援してくれていて。

ただ、僕のことをわかってくれてるということに 甘えてしまってました。結局「ついていけない、つらい」と辞めてしまったんですね。


—そうだったんですね。
僕はきゃろっとで働いていて、社長である内倉と20年来の友人です…。お二人と境遇が似ている所があります。なので、想像するだけで…ショックですね。

とてもショックでした。

けど、ありがたいことに、トムトムキキルのことは今も応援してくれています。
ただ、僕にもっと できたことは無かっただろうか。そういう思いから、今まで以上に一緒に働く仲間のことを考えたり、感謝を伝えていきたい という考えが生まれる きっかけになりました。

—ショックから、感謝を伝えようという気持ちに変化していったんですね。

はい。その通りです。
でも結局、それは僕自身の為なんですよね。

僕は月並みで十分なんですが、家族との時間を大切にしたいと思ってます。夜家族とお風呂入って食事して。そんな何気ない家族の時間を過ごしたいんです。 けど、夜営業をしたらできない…。 そうなると、夜営業中は、僕は家族と過ごしたいから、「やりたくないこと」を誰かにお願いするしかなくなる。

結局、それって申し訳なくて、心が快適じゃない。僕もそうだし、一緒に働く仲間もそうだと思うんです。だから、みんな残業無く働こう!17時なったら帰ろう!って。

それは一例ですけど、そんな風にしたい。それが感謝を表す一つになると思ってます。

そういう意味でも、働き方改革は僕たち家族だけじゃなく、トムトムキキルみんなが今より快適に生きていくために必要なことだという結論に達しました

—まさに、スタッフの方への愛情ですね。

そうですね。山盛りの愛情です(笑)
トムトムキキルは不思議なもので、素っ裸になっていくんですよね。それは物理的なものではなくて(笑)気持ちの方です。

その上で一緒に働いて、お互いの無いものを補い合っていくんです。だから、 僕のこともすごくよくわかってくれてます。僕のダメなところについて、みんな詳しいですよ(笑)けど、それでも一緒に働き続けてくれてる。

それは…そうですね。言うなれば、ソウルメイトですね。

だからこそ、学生のアルバイトの子に、本気で説教したりもします。言って分かってくれそうな相手にしかしないんですが、今一緒に働いているスタッフは、みんなそういう仲間です。

学生の子は説教したら、その時はむくれるんですが(笑)次の日には「言ってもらえてよかった」と話してくれて。 社会に出てから、誰も教えてくれなくて、心無い人に傷つけられてしまうかもしれない。 そう思うと、今、向き合ってしっかり伝えることが、その子の為になると思って 愛情を持って話します。

■学生アルバイトさん(たけちゃん)に話を聞きました。

—松原さんの話を聞いてどう感じていましたか?

初めの頃は、うまく受け止められないというか…。 ふてくされてる、ということも言われてしまって。
けど今は、もうそういうことは無くなったと思います。


—どうして変わったのでしょうか?

受け止め方が全然変わりました。
松原さんの言う通り、親にも言われないようなことを、この場で話してくれてる。 それは他でもない、僕のためなんですよね。 社会に出て、苦労する前に言ってくれてるんだって。 それって凄い近道をさせてくれてるって気付いたんですよね。

そうしたら、受け止め方も自ずと変わっていました。

■今のたけちゃんのお話を受けて、松原さんに伺います。

—そう思えるって凄いですね。

本当に…!そう思ってくれるのはありがたいですね。


親にも言われ無いことを説教されて。僕が学生の時のアルバイトだったら…正直言って素直に聞けないかもしれません(笑)でも、彼は辞めずに毎日来てくれて…。だから、僕は彼のこと、すごく尊敬しています。


—お二人の様子を見ていて凄く心がつながった職場だと感じました。

はい。それは自信を持って言えます。やっぱり、ソウルメイトですね(笑)!

—では、すこし意地悪な質問をしますね。
トムトムキキルさんの「本気の働き方改革」で営業時間が短くなりましたが、アルバイトさんやパートさんは 稼ぎが減り大変なのではないでしょうか?

全然、聞いて貰って大丈夫です。
正直に言うと、僕らの店って、店舗規模に比べてスタッフの人数はすごく多いんですよね。その上、営業時間を短くする決断をしました。そこだけを考えれば、時間給のアルバイトさんの給料は減ってしまうように思いますよね。

けど、スタッフの給料が減ってしまうことが無いよう、そこはしっかり計算しました。1人1人の給料と勤務できる時間を確認して…。 「そこまでしなくて良いのに」って言ってくれるスタッフもいましたが(笑)、

けど、そこは大事なことです。お互いが快適な気持ちで仕事ができるように、しっかり計算しました。

—そこまでするのには、理由があるのでしょうか?

実は、最近2人のスタッフが新しく入ってくれたんです。 彼らは「いつかトムトムキキルを卒業して、自分の店を持つのが夢です」と話してくれて。その修業の場としてトムトムキキルを選んでくれました。

先ほどお話ししたように、長く一緒に働いていた社員が辞めてしまった時でしたので、人手が不足している時間帯もあって。 だから僕の中では「こんな人と一緒に働きたいなぁ」というイメージだけはしっかりありました。

そんな時に、正にその通りの人が、2人も来てくれて。

本当にラッキーです。僕、ラッキーマンなんですよね(笑)

—ラッキーマン(笑)懐かしいですね。

同世代ですね(笑)

僕は、将来自分の店を持ちたいという夢を応援したいし、教えれることは全部教えたいと思っています。 給料の話に戻れば、店舗規模に比べて働く人数が多い。けど、今は人材への先行投資の時期だと考えています。


—それはどういうことでしょうか?

今回の「本気の働き方改革」の中で「1日99食限定」と決めました。現状としては、99食完売する日と、しない日がバラバラとある感じです。ただ、「1日99食完売」は毎日の僕らの目標としています。

だから、毎日目標を達成できるようになりたいし、毎日「99食完売」できるようになれたとき、焦らずスムーズにお店を回せるようになっていないといけない。その為に、今は先行投資をして、人を育てて、オペレーションを確立しています。

—なるほど。
とは言え、卒業してしまうことが分かっているのに「投資」と考えられるのは、カレー業界への「投資」ということでしょうか?

確かに。それもありますね。
けど、もっと単純に、僕の考えを学びながら夢に向かってくれるのは嬉しいです。夢を叶える修行の場をトムトムキキルにしてくれて、カレー屋として嬉しいんですよね。


それと見方を変えると、これは僕と彼らとの勝負のようにも思えます。 まだまだ学ぶことがあると思えば卒業できないですよね。 だから僕は成長し続けるように努力できる。

ちょっとだけカッコイイことを言えば「卒業したくないな」と思わせるほど、魅力のある職場で居続けようという思いもあります。

そう思うと、 巣立って自分の夢を叶えてくれても嬉しいし、ずっとトムトムキキルにいたい!と、ここに骨を埋めてくれても嬉しいし。

僕にとっては良いことしかないんです。だから、僕が思う「来て欲しい人」に来てもらえたと思っています。

一緒に働く一人ひとりのことを見つめ、一緒に「より快適に」生きる方法を考える松原さん。

働くスタッフの方々も、そんな松原さんの想いを受けて、より活き活きと快活に働いているように見えました。

松原さんの個性あふれるアイデアを具現化し続けるお店。それがトムトムキキルです。そして、それを理解し、支え合う仲間がいるからこそ、今の姿がある。お話の中で松原さんが仰っていたことは、そういう意味なんだと理解しました。


アイデア溢れる松原さんご夫婦の想いはこれからも具現化し続けていきます。そこには、心が通じ合っている「ソウルメイト」たる仲間が欠かせません。それを実感しているから、一緒に働く仲間を深い愛情を持って大事にし続けています。

そして、シンプルに仲間のことが大好きなんだなぁ、とも お話を聞いてると感じました。

さて、第4回目となる次回は、トムトムキキルの掲げる「トムトムWAYS」についてお話を伺っています。

松原さんのイメージや発想を迅速に受け入れるスタッフの皆さん。働く仲間のアイデアを即採用できる松原さん。その間にある「クレド」についてお話を聞きました。

この「クレド」があるから、お互いの行動が理解できると言います。

どうぞ次回もお楽しみに。

次の記事はこちら▼
これが僕らの道しるべ。「トムトムWAYS」こそ、大企業にも負けない、僕らのクレド。 スープカレームトムキキルインタビュー その4


スープカレートムトムキキル
〒 004-0843
北海道札幌市清田区清田3条2丁目14−15
電話  011-881-6280



大石 広土

この記事を書いた人 
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。

そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)

美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)

コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。

もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。