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「カレーへの愛」僕の武器はそれだけです。札幌市清田区の人気カレー店「トムトムキキル」の圧倒的な「愛」の話を聞いてきました。 スープカレートムトムキキル その1

こんにちは。珈琲きゃろっとの食道楽 大石です。

前回はイタリアン「自家製生パスタのお店 ジリオ 」さんにインタビューをしましたが、今回は第2弾!スープカレーの人気店に突撃インタビューしてきました。

札幌を代表するグルメの一つ、スープカレー。

幾重ものスパイスの香りと、旨味を凝縮したスープ。
ゴロッと入った大きな野菜も特徴的ですね。あ~お腹すいてきました(笑)。

今回のインタビューはスープカレーの人気店であるトムトムキキルさんにお邪魔しています。

カレーの美味しさはもちろんですが、ユニークな企業としての取り組みに目が離せないお店でもあります。

サービス業や飲食店のジレンマともいえる「自分の時間」と「営業時間」の考え方も、とても面白く参考になりました。

カレーのプロとして、愛情あふれる人気店の経営者として。

いろいろな側面からトムトムキキルさんの魅力を伺ってきました! ※インタビュー日…2021年7月15日

どうかお付き合い下さい。

「1日1ミリでも良いから、カレーを美味しくしたい」
愛の溢れるカレー店が考える、理想のカレーと味作りとは。

左 札幌市清田区の店舗外観  右 ロックバンド風Tシャツやユニークな店内の置き物

ユニークな外観と、目を引く看板。
トムトムキキルさん店内では、あらゆるところに個性とこだわりを感じることができます。

ロックバンド風にスタッフが描かれたTシャツや、カレーのこだわりをデザインしたエプロン。壁に掛けてあるギターや、ユーモアたっぷりの置き物…。


そして、店いっぱいに広がるスパイシーで食欲をくすぐる香り。お店のドアを開けた瞬間に、空腹度が5割増しになります(笑)

さて、そんな札幌を代表するスープカレー店のトムトムキキルさん。
一体どんな思いを込めてカレーを提供しているのでしょうか。

きゃろっとのコーヒーを飲みながら、店主の松原さんにインタビューをしました。

—今日はよろしくお願いします。

はい。よろしくおねがいします。

— 早速ですが、スープカレーのことについて質問をしていきますね。
トムトムキキルさんの味作りのテーマは「毎日食べたくなるカレー」と聞いたことがあるのですが?

その通りです。それは創業する前から考えていたコンセプトなんですよね。

具体的には「味噌汁」のようなイメージです。 日本人なら毎日食べる味噌汁。そんなふうに、毎日飽きることなく食べたくなるカレーを作りたい。そう思ってます。

どうしてかというと、 単純に僕がカレーが大好きで、毎日食べたいから(笑)

だから「毎日食べたいカレー」を作りたい。シンプルですが、本気で思ってます。

—「毎日食べたいカレー」は、どんなところに気を付けて味作りをしているのでしょうか。

やっぱり、食後。食べ終わった時にどう感じるか。 そこが大事だと思っています。

例えば懐石料理って 一品一品を食べて、最後に水菓子や果物で終えたときに、ちょうど良く満足できるようにできてますよね。カレーでもそうしたくて。

一口目にインパクトがある。そういうことではなくて 食べ進めるうちにちょうど良い濃さになっていく。そして、 食べ終わったときにちょうど良く満足できるような。

もっと言えば、食べている途中で、もう「また食べたい!」と思うような。

そんな「食べ終わりの向こう側」を見越して、カレーの味作りをしています。

—なるほど!実は僕たち珈琲きゃろっとでも「毎日飲みたくなるようなコーヒー」を味作りの大事なコンセプトにしているんです。

え~!そうなんですね

—せっかくなので、今日はブレンドの中で1番人気の「恵み野ブレンド」を淹れました。

ありがとうございます。 では、いただきます…!

うん…香りがまず、めちゃめちゃ広がってきますね。

うん!…あ~…美味しい!


さっきの話のカレーの味作りと同じで、 一口目からインパクトがあるということでは無いですが、スッと入っていって。 けど飲んだ後には満足感のある。そんなコーヒーですね。
きゃろっとさんの思う「毎日飲みたくなるコーヒー」の意味が分かります。

あと、すごく瑞々しい感じもしますね。

コーヒーのこと、よくわからないのですが(笑)美味しいのは分かります。

—ありがとうございます。 味作りに共通の部分を感じられて嬉しいです^^


—お店を創業されてもうすぐ10年になりますが、味作りは 初めからうまく出来ていたのでしょうか?

いえいえ…!カレーを作はじめたときは ひどいもんでした(笑)

けどそこから、少しずつ改良して理想の味に近付けて行って。

実は今現在も、毎日「もっと美味しくできるんじゃないか」と考えて、 誰にも気づかれないレベルで改良を加えています。例えば、以前は味付けには塩だけを使っていたんですが 、今ではほんの少しだけ砂糖を加えています。それによって、ほんっとに小さな変化なんですがコクが出て美味しくなって。

本当、ほんの少しずつ少しずつ美味しくなっています。

僕は、毎日1ミリでもカレーを美味しくしたいと、本気で思ってて。だから、トライ&エラーを繰り返してます。

その甲斐あって、 毎日、確実に、少しずつ美味しくできてます。

—では創業の時に作ったカレーと今のカレーは違う味になっているのでしょうか?

はい、そうですね。 色々と変わってますよ。

僕はずっと同じ味を作り続けることは、いつか衰退してしまう気がしています。僕はカレーを愛してるんですが、 その理由にカレーがすごく自由な食べ物ということがあります。

野菜と肉とスパイスが凝縮して、混然一体となって出来上がる美味しい食べ物がカレー。とにかく、 懐が深いんですよね。

だから、例えばスープでは あまりにもキレイ過ぎる味よりも、食材の味をグッと引き出したスープの方が 味にひっかりりがあって、深みが出て良かったり。

そういうことをラーメン屋さんの店主の方の話からヒントを得て取り入れることで、また少し美味しくできていますね。

—そうなんですね。そうなると創業の時のカレーと食べ比べしたい気もします(笑)

いやぁ、創業の時に作ったカレー…実は忘れられないことがあって。

今日からオープン!という初日のことです。

プレオープンでもなく、本当の本番、グランドオープンの日。準備もしっかりして、最初のお客様からのオーダーが入って。よし!と気合を入れて、緊張しながら渾身のカレーを作ってました。

僕の内心「お客さん、美味しくってビビるぞ~」とか思いながら(笑)。

それで、パッと味見したんですよね。

そしたら、自分のカレーのマズさに ひざから崩れ落ちたんです。もうオーダーも入ってる状態で、自分のカレーの味に愕然として…。

「何これ…!?俺のカレーの味じゃない…!」って。

そこから慌てて、作り直してカレーはお出しできたんですが、 妻もその時いたので一緒に慌てて(笑)

いやぁ忘れられない出来事ですね。


—え!?いったい何があったんですか?

今思えば単純な話なんですが、 濃度の計算を沢山のお客様にご用意するときと、自分たちが試作で作っていたときとでは 全然違うことをわかっていなかったんですよね。単純に倍にしたら良いと思ってて。

それで、これはいかん。と。

日々のオペレーションはもちろんですが、自分の作るカレーをブラッシュアップしていきました。そんなことをしているうちに、創業から1年で「自分の理想の味」をだんだんと見つけることができて。

その後、それでも3年間くらいはその「自分の理想のカレーの味」に近付けるように研究してましたね。理想の味がわかっても、どうやったらそのカレーが作れるのか。具現化する方法がわからない。だから、その方法を試行錯誤をしていたような3年間でした。

—具体的にはどんなことを変えていったのでしょうか?

そうですね。カレーの味は季節ごとにレシピを変えないとダメなんですよね。

食材の中で、野菜はもちろんですが、鶏肉なんかも夏と冬では違うんですよ。 同じ量の鶏を使っても、夏場のスープの濃度が薄くなってしまったり。

色々業者さんに聞いてたら、「鶏は暑さに弱いから夏はどうしても影響がある」ということがわかってきて。だから、出来上がりのカレーも変わってしまってたんですね。鶏が季節によって変わるって、僕も調理師免許もちろん持っていますが だれも教えてくれないですよね(笑)

そいういう細かいことに気付いて、カレー作りに活かして。

その繰り返しです。

—鶏が季節で変わること…知らなかったです。
今のお話の鶏もそうですが、トムトムキキルさんのカレーに入っている食材は どれもこだわりのあるものばかりですよね。

そうなんですよ。
やっぱり僕はカレーを愛していますんで、そこに使う食材も愛しているものを使いたいと思ってます。

そして、その食材自体も、どんな人がどんなストーリーで作っているのか。

そこも大事にしています。

—生産者の方のストーリーということでしょうか

そうですね。 僕たちのルールで取引先のことを「協力会社さん」と呼んでいます。

僕らが「協力会社さん」と呼ぶのは、僕がどれだけカレーを美味しく作る技術を持っていても、 力を貸してくれる皆さんがいなければカレーを作ることができないからです。

そういう感謝の気持ちやリスペクトの気持ちを忘れないように、「協力会社さん」と呼んでいます。

北海道のメリットは、すぐ協力会社さんの「生産者」の方々に会いに行けることがありますよね。地物の食材が豊富だからこそできることです。

そこで話したり、実際に自分の目で見て、ストーリーを知って。 どういう愛情をもって その食材が作られたのかを知ると、僕もより愛情をもってその食材と向き合えます。

結果、カレーへの愛情も深まっていくんですね。


—きゃろっともコーヒーの生産者の方々へのリスペクトの気持ちを忘れずコーヒーをご用意しています。
コーヒーの場合、生産者の方々が海外で遠いのですが、気持ちは絶対に忘れないようにしていますよ。

そうなんですね。
本当そういう気持ちを絶対に忘れたらダメなんだと思っています。

僕はカレーを愛していて、 そのカレーに入れる食材にも愛情を持っているし、 愛情込めて調理して、愛と共にお客様に提供してます。

インタビューを通じて トムトムキキルさんでは「愛情」や「感謝」という言葉を耳にする機会がとても多いように感じました。

さて次回は、「愛情」と「感謝」の気持ちを持って、 松原さんご夫婦がとことん話し合って決めた「本気の働き方改革」について伺っています。

・ カレーは1日「99食」限定
・ メニューを「3種」にしぼる
・ 昼営業のみで夜営業はやめる
・ 定休日は毎週日曜日と月曜日 そして、満月の日


などなど、大胆な変革に至った経緯の影には、ご夫婦お二人の深い想いがありました。

どうぞお楽しみに。

次の記事はこちら▼
ブラックなんかじゃない。飲食店の新しいモデルケースを目指して。僕たちならできる「本気の働き方改革」。スープカレートムトムキキルインタビュー その2

スープカレートムトムキキル
〒 004-0843
北海道札幌市清田区清田3条2丁目14−15
電話  011-881-6280



大石 広土

この記事を書いた人 
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。

そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)

美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)

コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。

もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。