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ブラックなんかじゃない。飲食店の新しいモデルケースを目指して。僕たちならできる「本気の働き方改革」。スープカレートムトムキキルインタビュー その2

こんにちは!大石です。
札幌市清田区の人気スープカレー店 トムトムキキルさんへのインタビュー、2回目です。今回はトムトムキキルさんが行った「本気の働き方改革」についてお伺いします。

トムトムキキルの本当の働き方改革って?
飲食店の新しいモデルケースになるって?

とても気になる内容ですが…

—その前に松原さんに質問です。トムトムキキルさんの今までの遍歴について、ざっくり教えてください。

わかりました。ざっくりですがお話ししますね。

■ 30歳。衝撃のあだ名「バイバイおじさん」により「自分のお店をやる!」と大きな決意
当時、僕はスープカレー店で働いてました。
職場に行けば、カレーに囲まれ幸せな日々。そして、私生活では長女が一歳に、長男も誕生。

そうなったときに、あれ?家族と過ごす時間を大事にしていたはずなのに、一緒の時間がとれてないな、と思うようになっていました。朝仕事に出て、帰ってきた時には子供は寝ていて。毎日、その繰り返し。

そこで長女につけられたあだ名が『バイバイおじさん』(笑)。

いやぁ、ショックでしたが「今みたいに雇われたままだと変えられない。自分でやるしかない」という決意に繋がりました。

■自分でお店を開業したのに、大事な時間が増えないジレンマ
僕は一般的なスタイルに則るクセがあるので(笑)営業時間は午前11時から午後8時でスタート。 お休みは週1日。一般的なカレー屋さんの営業時間ですね。その頃、嬉しいことに次男も生まれて。

これで自分の時間を自由にとれる!はずが…何かわからないけど忙しくて(笑)。 結局、家族との時間が取れなくなってしまっていました。

家族との時間を大切にするために自分でお店をはじめたのに、また家族と過ごす時間がなくなっている。これじゃあ、前と変わってない…!ということで、 思い切って営業時間を変更することにしました。

夜営業と日曜営業はやめる!その分、朝9時オープンの朝営業をスタート。 一般的ではないスタイルにここで踏み出しました(笑) 朝カレーという、他に例のないスタイルです。


その形が落ち着いてきて、スタッフに任せられることも増えたこともあり、 3年続けた朝営業をやめて、2018年、夜営業・日曜営業を再開しました。


■そして今回の「本気の働き方改革」へ
2019年には次女が誕生し、松原家は6人家族。 お店も順調だし、僕も毎日カレーを食べれて幸せだったんです。けど、 何か「このままじゃいけない」という気持ちもありました。

そこで、夫婦で人生に向き合って。 血反吐を吐くほど(笑)とことん話し合ったんですよね。
そして、決めたのが この「本気の働き方改革」です。

具体的には、
・ カレーは1日「99食」限定 

・ メニューを「3種」にしぼる
・ 昼営業のみで夜営業はやめる 
・ 定休日は日・月、そして、満月の日  等などがあります。

血反吐を吐くほど話し合う。そうすることで見えてきた、「本気の働き方改革」と、その後の姿。

—僕としても「1トムキキファン」として衝撃的な変革でした。松原さんにとっても、ものすごく大きな決断だったと思うのですが。

そうですね。

妻ととことん話し合って考え抜いた内容ですが、僕たちにとって、とてつもなく大きな決断でした。お店とか一旦抜きにして、僕たちの人生に向き合ったんですね。僕と妻と、家族。これが最小の構成として、その家族でどういう人生を過ごすのか。

必要のないものをどんどん削ぎ落として。そしたら、スープカレーは必要で。


そう考えるようになったのは、昨年くらいから。「今よりもコンフォートゾーンを上げよう」と考えるようにしたからなんです。 コンフォートゾーンを上げるっていうのは、大まかには今よりももっと快適に過ごすにはどうしたら良いか、ということです。

その為には、「今は、快適じゃない」と思わなければいけなくて。そこから、削いで削いで、本当に必要なものを残すように考えるようにしていました。本当のことを言うと、僕はすごく恵まれていて、家族に恵まれ、お客様に恵まれ、大好きなカレーを毎日作れて、一緒に働く仲間にも恵まれて。もう運と縁だけで生きてきたような存在なんです(笑)。

だけど、どこかで、今の成長が思っていたよりもできていない、っていうことに気付いたんです。今のままだと、思うように成長が進んでいかないような。

—人気店を営業しながら、敢えて「変化」を選んだのは どうしてでしょうか?

僕は家族をとても大切に思ってて、妻は自分の半身だと思ってます(笑)。一心同体なんです。だからとことん納得するまで、血反吐を吐くほど(笑)話し込みます。家族の時間を大切にしていけるのはどうしたら良いか。もう、めちゃくちゃ考えました。

僕たちが、もっと快適に生きていく。

その為には一緒に働くスタッフにもっと感謝を還元したり、この清田の地で営業させてもらっていることに感謝して、地域貢献をしていく。そういう気持ちを実現していく必要がある。そのために、この働き方改革が必要だったんですね。

—とても人気があるお店。メニューや内装、営業時間を変えることは怖くなかったですか?

怖かったです(笑)めちゃくちゃビビりました。

けど、それでも突き進めたのは、やっぱりそうすることでしか成長できないと思ったからです。

もちろん今までの取り組みや、培ったものを活かしてはいくんですが、一度壊さないと進めない。 けど…恐いのは怖かったですよ(笑)大石さんもご存知の通り「ニラキーマ豆腐」のように固定のファンがいるメニューも減らして。僕も大好きなカレーだから、正に断腸の思いです。※大石はトムキキさんのニラキーマ豆腐の大ファン


でも、凄くたくさんのお客様が応援してくれました。もちろん残念な思いになってしまった方もいたとは思いますが、皆さんから応援をいただけて。


本当にありがたいです。

—今を見つけなおして、大きな決断をしていく姿は、開業するに至った「バイバイおじさん」の話にも通じますね。

そうですね。一人目の子供が生まれて、 自分の時間を大切にするために自分お店をはじめようとと思ったときと似ているかもしれませんね。

けど、こう見えて僕は結構、一般的な常識に縛られることがあるんです。

だから自分のお店を開店させると決めた後も、一般的なこととか、業界の常識に則って決めていました。
そのクセは抜けなくて、未だによくありますよ。


—え?見えない(笑)とは言え、自分の時間を削って営業時間にあてるのが良いのか、自分の大切な時間を優先するのが良いのか。この辺は飲食店さんなら常にある悩みのようにも思いますね。

そうですね。
僕自身、飲食店ならこうあるべきとか、カレー屋さんならこうしないと、とか。そういう思い込みのクセがあります。

開業して、その後に 朝営業をはじめたり、色々な変化を遂げてきました。けど、それだと成長の限界があるような、思っていたような成長ができていないような。 そんな感じがしていたんです。もっと根本的な変化をしないと。


だから、妻ととことん話し合って、人生と向き合って。今回、本当の働き方改革をしました。

削ぎ落すことを箇条書きにして、本当に必要なのかを吟味して。 自分たちで決めておきながら「本当にこれやるの?」っていう気持ちにもなりましたが(笑)


けど、これができたら「もっと快適になる」っと思っていましたのでワクワクした気持ちも沢山ありました。

今は、やって良かった と心から思ってますし、もっと「やって良かった」と思えるように、まだまだトライすることを考えています。


—まだまだ途中ということでしょうか!?目が離せないですね!

ロゴイメージや内装もそうですが、まだまだ、やれることはいっぱいありますよね。チャンスだらけで、ワクワクします。

—凄いポジティブ! 1日最大99食に限定したのも、本気の働き方改革の1つですよね?

そうなんです。 99食の理由のひとつは、100食目は愛する家族の為にしたいから。 そして99食は僕が愛情を込めて出せる今の上限だと思っています。

カレーを愛する気持ちを、カレー作りの仕込みや素材に惜しみなく込められる数。それが99食でした。 実は200食、300食を仕込んで出せるように考えていた時期もあるんです。


けど、僕には無理でした。

それで、1皿1皿のカレーに愛情を込められる限界があるんだと思ったんです。 そして、99食は働くみんなの生活を守れる数でもあります。

飲食店は厳しい という印象があるし、ブラックというイメージもあるかもしれません。


けど、そうじゃなくて。

99食を目標とすることで、しっかり利益を出せる仕組みを作るのは経営者である僕の仕事。 99食であれば、働く人の時間をしっかり確保できて、残業の必要もなくせる。そんな、飲食店の新しいモデルケースになりたい。

生意気な言い方かもしれませんが、本気でそう思っています。

働き方改革を通じて、トムトムキキルさんの「愛情」の新しい一面が見えたように思います。ご夫婦でとことん話し合って、自分たちが快適に生きていく「人生」に向き合ったお2人。


ご自身やご家族の幸せを中心に考えているのは確かですが、決して「自分たちの都合が良い道」を選んでは いないこと。お二人の結論は一緒に働く仲間や地域に、「より」貢献できる道を選ぶことでした。これって、凄いことだと僕は感じます。

トムトムキキルの本気の働き方改革は、そんな「感謝」の気持ちから生まれたものと、お話を聞いて確信しています。この先の長い長い時間を通じて、今まで以上に感謝を示すことができる。それこそが、この働き方改革の根源だと思います。

さて、次のインタビューでは、その「仲間」への思いについて具体的に伺っています。

個性的なお店で一緒に働く、個性的なスタッフへの想いなど。


詳しく聞いていますのでお楽しみに!

次の記事はコチラ▼
「仲間が居続けたいと思ってくれる場所を作ることは、僕自身の挑戦でもあります」スープカレートムトムキキルインタビュー その3

スープカレートムトムキキル
〒 004-0843
北海道札幌市清田区清田3条2丁目14−15
電話  011-881-6280



大石 広土

この記事を書いた人 
こんにちは!珈琲きゃろっとの大石です。
毎日、お客様対応や焙煎業務など色んな事に携わっております。楽しいです^^
嬉しい言葉や、美味しい!のご感想をみては、「幸せな仕事がきてうれしいなぁ~」と実感してます。

そして、我が家のエンゲル係数異常値ですが、食道楽はやめられません(笑)
食道楽が高じて「どんな人が、どんなふうに作ってるんだろう」という興味を抑えきれず、素人ながら、家族で突撃インタビューをしています。完全に趣味です(笑)

美味しいコーヒーと同じくらい、この世の美味しいものが好き。もう、この気持ちに素直に生きています(笑)

コーヒーのこと、お客様やサービスのこと、きゃろっとのこと、食道楽のこと(笑)など色んな角度から魅力再発見するお手伝いができたら嬉しいです。

もし良かったら、コーヒーと一緒にお付き合い下さい。