今日は、ちょっとマニアックな内容となってしまいました。
以前の記事で、冷凍保存したコーヒー豆と常温保存の豆にお湯を注ぐと、ほとんど温度差が無くなるという実験結果となりました。
そのため、冷凍保存の豆も解凍しなくて良いとお話しましたね。
▼過去の記事 「冷凍保存したコーヒー豆は、常温に戻す?戻さない?」は、こちら
■挽いた時点では…
冷凍保存の豆 → 9.5℃
常温保存の豆 → 26.4℃
この時点での温度差は、16.9℃あります。
■87℃のお湯を注ぐと冷凍保存の豆は…
蒸らし中の粉内温度(注湯温度87℃)
冷凍保存豆 → 76.5℃
常温保存豆 → 78.6℃
温度差は2.1℃と、ほとんど無くなりました。
17度近くあった温度差が、同じ湯量を注いで2℃になってしまう。
これって、不思議ですよね。
なぜ、このようなことが起きたのか?
理論上では、何が起きているのかを検証してみました。
きゃろっと的検証
結論からいうと、水とコーヒー豆の比熱の違いによるものだと考えられます。
比熱とは、物質1㎏、1gの温度を上げるのに必要なエネルギーのことです。
比熱が小さいほど、少ない熱量で温度が変化するため、温まりやすく、冷めやすくなります。
逆に比熱が大きい物質は、温まりにくく、冷めにくい性質があります。
ちなみに、水の比熱は4.2です。
コーヒー豆の比熱は?
コーヒー豆の比熱を測定するために、熱したコーヒー豆を水の中に入れ、水の温度変化を測定しました。
計測には、上の画像のように断熱した銅製の容器を使用します。
その結果、コーヒー豆の比熱は、0.98という数値に!!
水の比熱は、コーヒー豆の約4倍となります。
水とコーヒー豆が同じ質量だったとすると、水を温めるのはコーヒー豆の約4倍の熱量が必要となります。
このことから、コーヒー豆は少ない熱量で温度が上昇することがわかりますね。
つまり、冷凍のコーヒー豆は一気に温度が上昇しやすく、最終的に常温と冷凍の温度差が縮まった結果になります。
この比較結果から、「冷凍のコーヒー豆は解凍しなくても問題ない」ということが分かりますね。
比較実験!
実際に、①9.5℃と②26.4℃のコーヒー豆40gに、87℃のお湯を80g注ぎ、蒸らすと何度になるか?
ということを測定した比熱を使って、計算してみました。
■その結果…
①9.5℃(冷凍保存豆)→ 78.9℃
②26.4℃(常温保存豆)→ 80.67℃
なんと!実際に実験で出た温度と、ほとんど同じ温度になったんです!
温度差にいたっては、2.3℃と、実験の値の2.1℃と比較しても、かなり近い数字がでました。
実験では、空気中にも熱が奪われるため、計算値よりやや低い温度となっていますが、実験結果と計算値がほとんど同じ数値を示したことに感激。
以上のことから、冷凍で保管したコーヒー豆は、すぐにお湯を注いでも大丈夫ということが、比熱の測定結果からも分かりましたね。
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
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日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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