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【すずらんプロジェクト】コーヒー屋として出来ること

きゃろっとスタッフの佐藤です。
 
2020年、新型コロナウィルスの影響で、大変な世の中になってしまいましたね。
同年2月には、北海道でも緊急事態宣言が発令され、外出自粛を余儀なくされてしまいました。
 
私も小学生の娘が二人いますが、幼稚園や小中高校、大学までもが休校となり、生活基準が大きく変わったご家庭もあったかと思います。
 
かつてない出来事に不安が募る毎日。
変化と不安で、精神面での負担も大きかったのではないでしょうか。
 
そんな中、「コーヒー屋として何かできる事はないか」と、スタッフが発案した医療従事者や市内の学校へドリップパックをお届けする、【すずらんプロジェクト】を実行しました。
 
その当時の事を、飲食コンサルタントの松本さんにインタビューしていただきましたので、きゃろっとマガジンでも、ご紹介させていただきますね。

地域貢献への想いを強く感じる、新しい企業の在り方

きゃろっとマガジンをご覧の皆様、初めまして。
飲食コンサルタントの松本隆と申します。
 
昨今の新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、人と社会の在り方は大きく変化しました。
働き方だけでなく、身近な商品購入の基準も様変わりしています。
 
以前は「商品の魅力」が最優先でしたが、「企業の考え方」に惹かれるか否かの優先順位が大きく躍進しているようです。
 
では、人はどんな会社の商品を「買いたい」思うのか。
そして「買いたい」と思われる会社では、どのような活動をどのような思考で行っているのか。
 
今回はユニークな取り組みで地域、顧客から絶大な支持を集める、北海道恵庭市にある珈琲きゃろっとに話を伺いました。

■筆者 松本隆 北海道遠軽町出身
食品業界に10年以上勤め退社。 その後、九州・沖縄の水産系の市場、工場や酒蔵を巡り、 福岡、広島、京都、奈良、大阪、新潟と北上。 北海道の食の流通や小売り、飲食店にコンサルタントとして関わる。

「恩返し出来るときが来た!」そう思ったんです

(株)きゃろっと代表取締役社長:内倉大輔

珈琲きゃろっとの内倉さんに話を伺いました

__ 今回行った「すずらんプロジェクト」はどういった取り組みでしょうか?

コロナで大変な時にコーヒー屋である自分達に何かできないか。 そう考えて取り組んだのがこの「すずらんプロジェクト」です。
お客様や北海道の感染症指定医療機関、地域の飲食店、幼稚園、小中学校にきゃろっとのドリップバッグコーヒーをプレゼントさせていただきました。

__ 全部でどのくらいの量のドリップバッグを配布したのですか?

何度も追加で作成をしていて、正確な数量がわからなくなりましたが、 35,000パックを超える量は配布しています。

__ すごい量ですね!すずらんブレンドは、どのようなコーヒーを使用して作られているのでしょうか?

実際に、現地に買い付けに行ったコスタリカのコーヒー。それとホンジュラス、グァテマラを使用しました。きゃろっとでは、スペシャルティコーヒーの中でも吟味した銘柄しか取り扱っていませんが、今回使用したコーヒーも同じレベルのものです。

__ そうなると金額は、どのくらいになるのでしょうか?

そうですね。売価で約600万円くらいでしょうか。

__ こちらも、ものすごい金額ですね!利益にはならないことに対して、それだけの金額を投じることに躊躇はなかったのでしょうか?

すずらんプロジェクトのアイデアを聞いた時、「すぐ、やろう!」と何の迷いもありませんでした。

病院で勤務されている方々が大変な状況で、せめてコーヒーで一息ついてもらいたい。 シンプルにその気持ちだけです。医療従事者では無い方々も、コロナによって家にいる時間が多くなり、心配な日々が続いていたと思います。

そんな時だから、コーヒーにできること、僕にできることはできる限りやっていきたい。
そう考えていました。

__ そのように考えることは、簡単ではないと思いますが?

僕がそう思うようになったのは、過去に起こした焙煎工房の火災の経験が大きいですね。

火災によって、コーヒーをお届けしている全国のお客様や地元地域の皆さんにまでご心配をお掛けしてしまいました。それなのに、地励ましの言葉をくれたんです。お客様からのメールを見ながら、涙が止まりませんでした。なんて素晴らしい人たちに囲まれて、商売させてもらってるんだろうって。

その経験から、いつか僕が恩返しができるときが来たら、 迷わず行動しようと決めていました。
だから、「すずらんプロジェクト」のアイデアを聞いた時に、 すぐやろう!と思ったんですね。

困っている人がいたら助けてあげたい、ただそれだけ

チーフバリスタ:浅野小百合

すずらんプロジェクト発案者の浅野さんに話を伺いました

__ 今回、浅野さんが発案と伺いました。
どうして、そういった活動をしようと思ったのでしょうか

2020年3月頃、爆発的にコロナが広がってきている時期で、真裕美店長から「きゃろっとで、医療従事者の方に何かできないだろうか」と話がありました。全国的に寄付金やマスクを贈ったりと、直接的な支援がいろんなところで行われ始めたころです。
 
じゃあ、私たちきゃろっとだったら、何ができるだろうって考えて、
「やっぱりコーヒー屋だから、コーヒーで」
「美味しいコーヒーはこういう時に力になるはずだよね」
そういう気持ちで話しをしていました。
 
ドリップバッグだったら保存がきくし、職場だけじゃなくて家でも飲めるから、きっと喜んでくれるんじゃないか、と。

丁度その頃は、3月の北海道の緊急事態宣言期間が終わった時期で、強い不安が残っていました。娘が卒園する年だったんですが、卒園式もできるのか…というような中で、結局縮小して行ってくれて。
 
ただ、そんな不安を抱えた気持ちの毎日で、同じ地元の恵庭市民の方々にも何かできないか、そいういう風に思うようになりました。
医療従事者の方やお客様、地元である恵庭市民の方に、コーヒーの力を借りて何かできないだろうか。 そう思ったのがスタートですね。

__ すずらんブレンドのネーミングは、浅野さんのご考案と伺いました。

名前を考えた時に、恵庭市にまつわる元気な言葉が良いなと思ったんです。花の街だから、お花の名前を借りれないかな、と。最初に思い付いた言葉が恵庭のシンボルフラワーの「すずらん」。恵庭では「すずらん踊り」という踊りがあるくらい、親しみのある花なんですよね。
 
それで花言葉を調べたら、すずらんは「再び幸せが訪れる」という意味だと知って。長い冬が明けて、雪解けに毎年花を咲かすことから、この花言葉がついているそうです。
 
この頃は3月だったので、雪解けの後に花を咲かせるというのがぴったりで、すずらんブレンドに決めました。

__ 考えを相談した時、きゃろっとの仲間はどんな風に捉えていた様子でしたか?

私は、いつも突拍子もないことを言ってしまうんです(笑)
すぐに行動してしまいたくなる性格で。
そんな時、ひと呼吸おいて「きゃろっととして大切にしている軸から外れていないか」をみんなで確認します。

今回のことは、きゃろっとの理念「みんなが笑顔でしあわせに」と繋がっている。
「じゃあ、どうやったら実現できるか」と具体化する方向で進めてくれましたね。
その日のうちに、どんどん話が進み、言い出しっぺながら、きゃろっとの行動力に驚きました。

__ どんどん世の中の状況が変化するなかで、迷ったこともありましたか?

それは、やっぱりありましたね。やると決定した直後に、日に日に状況が悪化してしまって。自粛警察という言葉も出始めるくらい、ピリピリした雰囲気がありました。

もしかして、今は「コーヒーを楽しむ」っていうところまで余裕を持てないんじゃないか。そうなると、押し付ける形になってしまったら意味がないな、と。

実は、ドリップバッグも準備が整って後は発送するだけ、というところまで進めたんですが、 もう少し出荷は様子を見ようか、となりました。

__ カフェでは、感染症対策を重点的に取り組んでいらっしゃるようですね。

はい。通信販売でコーヒーをご用意する焙煎工房ももちろんですが、対面の店舗も、できる限りの感染症対策を講じて取り組んでいます。
 
こういう状況になったときに、私だけじゃなく、お客様やお店に立っているスタッフに何かあったら嫌だな…。 きっと何かあったら、自分自身がすごく後悔してしまう。そう思っています。

私たちが、コロナウィルスに感染している可能性も十分にあります。
きゃろっとの店舗へは、様々な年齢層のお客様が来てくれます。だからこそ、できるだけ安心して来店できる環境を整えておきたいな、と考えています。

感染してしまうことは、誰が悪いということはありませんが、できる限り抜かりなく感染症対策を行うことが、今できる優しさの一つだと思って、スタッフにも協力してもらっています。

今では、できる限りを実践し続けていて「やりすぎかもしれない」と思うくらいの取り組みになっていますが…。
 
店舗での対策を進めていると、「きゃろっとらしさがない」と自分で感じるくらい、殺伐としていると感じる方もいるかもしれません。 いつもはお客様とたくさんお話して、ゆっくり楽しんでもらうところを滞在時間を短くしていただいて…。
 
寂しさはありましたが、命に関わることが最優先です。 「お客さまには、おうちでコーヒーを楽しんでもらう」ということを念頭におき、喫茶はクローズして、最低限の接客で取り組んでいます。

店舗のお客さまには、病院関係者の方も多いんですよね。 印象的なエピソードなんですが、開店前に「他のお客さんがいない時に取りに行きますので、販売してくれませんか?」と、お電話をいただいたことがありました。
ご来店されると「救われました。コーヒーが今、唯一ほっとできる時間なんです。」 そう、涙ながらにおっしゃってくれたこともありました。
自由に外出できない状況だからこそ、豆販売だけでも続けなければと、思った出来事です。

だからこそ、シンプルに考えて安全に留意することが、何よりも大切なこと。 ご不便をお掛けすることもたくさんありますが、一番優先しなければならないことだと思っています。

さらに、寄付した時のエピソードを伺いました

__ 北海道の感染症指定医療機関へ、コーヒーを寄贈されたんですね。 どのくらいの数量を送ったのでしょうか?

道内全土の感染病指定病院へ、4800個のドリップバッグを送りました。あと地元の恵庭市の病院や 千歳保健所、それからお客様が看護師として従事されている沖縄の感染病指定病院にもお届けしました。

__ 印象に残っているエピソードはありますか?

まず、恵み野の病院に持って行った時ですね。
 
窓口の方にお伝えしてコーヒーを渡したんですが、わざわざ、院長先生が外まで追いかけて来てくれて、 「みんなでいただきます」と、深々とお辞儀をされ、すごく喜んでいただきました。
この時、久しぶりに、病院へ足を踏み入れたのですが、びっくりするくらい物々しい雰囲気で…この中で、毎日、私たちの生活を守ってくれていると思うと、少しでもコーヒーがお役に立てたらいいなと思いました。

千歳保健所でもすごく喜んでもらえて、 後日「あの時はありがとうございました」と店舗にまで来ていただきました。

病院の関係者の方からの電話で、「コーヒービックリしました!」と連絡をもらったり。とても喜んでくれたというのが伝わって、嬉しかったですね。

__ 次に、小中学校や幼稚園へコーヒーを寄贈。 学校に通う児童全員に行き渡るように、プレゼントしたんですね。

はい。今回、自粛になって学校もずっとお休みで。子供も大変だけど、親御さんも大変だったと思います。 家で勉強見て、適度に運動して、感染症に気を張って…。

そういう時って、少し落ち着いた頃に緊張の糸が切れて、ホッとしたときに疲れが出ますよね。
 
だからこそ、コーヒーで一息着いて欲しくて。 お子さんと楽しめるように「コーヒー牛乳とコーヒーゼリー」のレシピを作って一緒にお渡ししました。

__ どのくらいの数量を、どこの学校へ送ったのでしょうか?

市内の保育園、幼稚園、小中学校33校へ送りました。

__ 準備だけでも大変だったのでは?スタッフ総出で配布に協力したとか

そうですね。 箱詰めも運ぶのも、スタッフみんなで行いました。

幼稚園、学校へ向かうスタッフ

作業としては、大変な作業でしたが、ありがたいことに、ネガティブに感じているスタッフは一人もいなくて。「喜んでくれるかなぁ」と、運ぶときも楽しそうにしてくれました。車に満杯に積んで、スタッフそれぞれに、ゆかりのある学校や幼稚園に届けてくれました。

スタッフにも家庭があり、さらに季節柄忙しい時期だったんですが、それでも気持ちよく協力してくれました。

__ 学校へコーヒーを寄贈して、印象深いエピソードはありますか?

う~ん。すごく、色々あるんですが(笑)

まずひとつは、うちの娘の話です。娘のクラスでもコーヒーが配られたんですが、それがとっても嬉しかったようで。「うちのお父さんとお母さんが働いてるところのコーヒーだ」と。

それで、娘が貰ったコーヒーを持って帰って来たんですが、私に「うちにはコーヒーがいっぱいあるから、先生にあげて良い?」って言ってきたんです。そして、自分が貰ったコーヒーを先生にプレゼントしてました。

それを見た時、娘も「誰かに喜んでくれたら良いな」と同じように思ってくれたんだなぁって、 すごく嬉しかったですね。

あとは、お友だちのお母さんから、「久しぶりにホッとしたよ」って、 本当にたくさん連絡を貰いました。
 
娘が卒園した保育園にコーヒーを運んだときには、 「プレゼントが来た!」って感じで(笑)
子供たちがワイワイしてくれて、サンタさんになったような気分でした。
 
友だちからだけではなく、SNSやメールなどでもたくさんのリアクションがあって。みんなにとっての楽しいニュースになれたなぁと実感しています。

__ こうした未曽有の出来事に際して、コーヒーの可能性はどのようにありますか?

おかしな言い回しになりますが、 コーヒーって生活に必要なものではないんですが、生活に必要なんですよね(笑)。「無くてはならない」という感じでしょうか。
 
自分自身でも感じていたことなんですが、周りの人に証明してもらった気がします。
 
地震の後の炊き出しでも感じた、人の心を開かせることのできる力。きっと音楽や絵画、演劇とも近いのかもしれません。

特に、本当に大切に作られるスペシャルティコーヒーは、 生産者の方からしても芸術品のようなものです。焙煎という過程もあり、大切に作られています。 芸術もコーヒーも、人に勇気をあたえられると信じています。

私は世界平和になって欲しいという願いがあるんですけど、 コーヒーを飲んでいる時間だったり、 コーヒーを飲めるというシュチュエーションそのものが、平和だからこそ生まれる時間だと感じています。

お世話になっている飲食店へ、泣いて喜んでいただけた

販売促進担当:大石広土

自らの足で飲食店へ、大石さんに話を伺いました

__ 地元恵庭と札幌、小樽の飲食店さんに約4500パックのドリップバッグを寄贈。 どうしてそういった活動をしようと思ったのでしょうか?

すずらんプロジェクトの準備は進んでいたのですが、準備が整った頃合いで小学校は休校。医療従事者の方へお渡しするのも、緊事態宣言が出たばかりの混乱で、実現が難しい状況でした。
 
では、次に僕たちにできることは何だろうか?
次に頭に浮かんできたのは、飲食店の方々の顔でした。

僕は個人的に美味しいものを食べるのが大好きなのですが、この時期は外食産業も大打撃を受けていました。
 
そこで、まずは自分たちがお世話になっている店や応援したいお店だけでもコーヒーをプレゼントするのはどうだろう、 そう考えました。


お店の方がホッと一息つくために飲んでくれても良いし、 ノベルティとして使ってくれても良い。 テイクアウトを強化するお店が増えていました。なので、お持ち帰りをした美味しい料理をご自宅で食べたあとに、 ゆっくりとコーヒータイムを楽しんでもらう。 飲食店さんの負担なく、お客様の満足度が高まれば、僕らにとってこれほど嬉しいことはないです。
 
そういう価値を、コーヒーは提供できるんじゃないかと思っていました。

__ そういうアイデアは、スタッフから生まれることもあるんですか?

すごくたくさんあります。

変な言い方になりますが、「社長がやりたいから、それに付き合う」ということが無いんですよね。 皆同じ目線で、アイデアを出しています。

例えば、今回のすずらんプロジェクトだとしたら、 ベースとなることの「きゃろっとのコーヒーで、今何ができるだろう」という部分を共有します。 それからは、働く仲間みんなでどんどんアイデアを具現化し、実行していく感じです。

スタッフそれぞれ得意なことが違いますから、どんどん広がっていきます。 皆が同じ軸を持って、勝手に行動している。そんなイメージです。

__ 今回飲食店にすずらんブレンドを寄贈したとき、どんな反応でしたか?

突然の提案でしたので、飲食店さんとお話しする時は、僕自身もとても緊張しました(笑)
ただ、実行して本当に良かったです。

実際に頂いた声としては、

「悩んでいた中で頂いたドリップバッグは、心強い味方になり、それでいいんだよと背中を押してもらえた気がします」

「心が折れそうになりながら、それでも笑顔で…と思っていたところ、本当に嬉しい差し入れで。年甲斐もなく泣いてしまい、失礼しました」

「めちゃくちゃ嬉しくて泣きそうになりました。きっと、お客様の気持ちが和らいでくれます。」

「たいへんな状況ですがきゃろっとさんに嬉しくなる感情と活力をいただきました。この強い気持ちをお客様へ繋いでいきます

など、嬉しい言葉をたくさんもらって、僕の方がたくさんの勇気とエネルギーを貰ってしまったような気がします。

コーヒー屋にしかできない事、コーヒー屋だからできる事

再び、内倉さんに話を伺いました

__ すずらんプロジェクトを取り組んで、どう感じていますか?

良かった。本当にそう思っています。

つい昨日も、妻が小学校に行った際、 クラスのお母さんから「コーヒーありがとう!」と声をかけてもらったそうです。配布から日数が経過しても、未だに感謝してくれて。
 
コーヒーで何かできないか、という思いで行ったことですが、ここまで喜んでもらえてシンプルにとても嬉しいです。

__ コーヒーだからできること。コーヒーだから喜んでもらえたのでしょうか?

2018年の北海道胆振東部地震の際、炊き出し行った時のことが思い浮かびました。
「コーヒーを飲んだことで日常に戻れるよ」と喜んでもらえて。コーヒーはそういう力があるんだと、その時実感しました。

日頃いただくお客様からのメールでも、 「きゃろっとのコーヒーが、生活に掛け替えのないものになっている」という言葉をたくさんいただきます。
最近では 「きゃろっとのコーヒーをまた飲むことを楽しみに、闘病がんばります!」 というメールをいただきました。
 
そういう時は、改めてコーヒーの力を感じます。 生活の中にコーヒーがあって、その時間に幸せを感じてもらえること。コーヒーは、そういう光景が浮かんできやすいものだと思います。

今回、すずらんブレンドのドリップバッグを小学校に配る際に、ドリップバッグと一緒にコーヒーの説明の紙を作成し渡してもらいました。そこには、コーヒー牛乳とコーヒーゼリーのレシピを記載しています。
 
お子さんはコーヒーをそのままで飲めないけど、家に持って帰って、お母さんはブラックで、お子さんはコーヒー牛乳で。それを親子で楽しそうに作って「美味しいね」と言いながら飲む。そういう光景が想像できることが、コーヒーの力であり、コーヒーの持つ可能性なんだと思います。

余談ですが、さーやん(バリスタの浅野さん)から、この用紙を作成するって話を聞いた時に、「子供も飲める方法を載せたら喜んでもらえるんじゃない?」と言ったら、 「大丈夫!もう載せて作ってるから」って即答された一幕がありました。
 
僕は、この時のことを鮮明に覚えています。「コーヒーを通じて喜んで欲しい」「幸せな時間を過ごしてほしい」という目的を、共通認識として持てていることを実感できた瞬間でしたね。

__ コロナによって、改めて見えたことがあったとか?

そうですね。 今回、主婦スタッフのみんなが率先して、自分たちの子供が通う学校にドリップバッグを持って行ってくれたんです。

こういうプロジェクトを思い付いて実行する時、きゃろっとのスタッフは、当たり前のように協力してくれます。 これは、本当に凄いことですよね。

どうして そう思えるのか。
それは、日頃の仕事で、ただ「コーヒーを出荷する」っていう作業をするのではなく、 「お客様に美味しいコーヒーを飲んでもらいたい」と考えてくれているからだと思います。

そういうふうに、自分たちの仕事や自分たちのコーヒーに誇りを持ってる。
だからこそ、何かあった時に「作業」ではなくて「人」として捉えてくれます。
そういう考えでいてくれるから、今回のすずらんプロジェクトも自然と協力してくれて、 「誰かの役に立ちたい」という想いで行動してくれました。

それと、日頃から自分達で余裕を作り出せていることも大きいですね。
いつも、どうやって日常の仕事を、丁寧にかつ 早く終わらせられるかを考えて、取り組んでくれています。そう考えることが、当たり前のようになっているんです。

だから、時間的に余裕を作り出せるし、実際に余裕を持つことができています。
そうじゃなかったら、こういうプロジェクトをやりますよってなったときに 「社長、何言ってんだ…」「もう限界、キツイです」ってなってしまいますよね。

けど、そうならないのは、余裕があるから。
そして、具体的にその余裕を作ることができるからだと思ってます。
結果、コロナ禍の今、改めて一緒に働くスタッフのすごさを実感しています。

こうした地域に還元する考え方が伝わり、 きゃろっとでは恵庭市の市制施行50周年記念式典でも、ドリップバッグ(すずらんブレンド)を参加者へ配布することが決まった。
 
新型コロナウィルスをきっかけにして新たな価値観が生まれ、「新しい生活様式」と共に浸透している。 新たな価値観を調査するアンケートによると、 「今まで以上に人との繋がりを大切にするようになった」 という回答が最も多くを占めている。 中でも「家族との時間を大切にしたい」が上位。

そんな新しい価値観に裏打ちされた幸せな光景を、顧客に想起させることができるかどうか。 それこそが、これからの企業姿勢として問われるべき資質なのである。

最後に

スタッフの佐藤です。ご覧いただき、ありがとうございました。
松本さんにも、素敵なインタビュー記事を作っていただき、本当に感謝しかありません。
 
今回のすずらんプロジェクトを終えると、ドリップバッグをお渡しした方や各教育機関から、嬉しいお写真や感謝状をいただきました。
一部になりますが、ここでもご紹介させていいただきます。

恵み野小学校の児童会より
感謝状授与式にて
お客様より
えにわスマイル保育園より
札幌市 スープカレー店オーナー様
お客様より
お子様とカフェオレをお試しいただきました。

これからも、わたしたちに関わる全ての方が、少しでも笑顔になりますよう取り組んで参ります。
 
皆様にとって、 当店のコーヒーが、少しでも心安らぐコーヒータイムのお役に立てますように。