シルバースキンというのは、コーヒー豆のセンターカット(溝の部分)にある白い薄皮のことを言います
※別名チャフとも言います
このシルバースキンは、特に浅煎りのコーヒー豆の場合によく見られます。
焙煎過程において完全に焼ききることができず、ミルで粉砕した際にも白い皮のようなものが残りますね。
このシルバースキンが、渋みやエグミの原因として、考えられている場合がありますね。
除去方法としては、息を吹きかけて飛ばす方法が有効です。
味の変化に関しては、シルバースキンそのものが原因というよりは、他の要因によるものがほとんどだと思います。
例えば、お湯の温度や注ぎ方、コーヒー豆の品質や焙煎によるものなど
もちろん厳密に言えば、シルバースキンも間違いなく渋味の成分を持っています。
このため「取り除いた方がいい」のですが、きゃろっととしては気にする必要はないのではと考えています。
とはいっても、挽いたら薄皮が見える…
どうしても気になるシルバースキンの存在…
そこできゃろっとでは、シルバースキンがどれほど渋味成分を持っているかを比較実験してみました!
比較実験その① ~シルバースキンだけ淹れてみた~
【抽出方法】
1.焙煎後に出てくるシルバースキン(10g)を計量し、ネルフィルターにセットします
2.90℃のお湯でドリップし
3.完成量は、約300mlとしました。
※通常コーヒーに入っている量に比べるとて、超高濃度のシルバースキン液です
見た目は、コーヒーと変わらないんじゃない!?
想像に反してきちんと濃度が出ているようで、パッと見た感じはコーヒーと同じなんですね。
でも、コーヒーの精製場に漂う独特の匂いがします。
そういえば、コスタリカに行った時に持ち帰った「カスカラティー」のような匂いがしますね!
※カスカラとは、コーヒーを精製する際に出るコーヒーの果肉を乾燥したものです
全然飲めない液体を想像していたので、以外にも「飲めるじゃん!」というのが、最初の印象です。
さーやん
苦いっ!渋いっ!「飲める!」って言ってたのに~
確かに、熱いうちには渋みの有るほうじ茶のような味がしていましたが、冷めてからが、かなりキツイです。
結論
「やはりシルバースキンは渋かった」
でも、これはコーヒー1杯分のお湯の量に対して、一生分ものシルバースキンを溶かした液体での話です。
これだけ高濃度のシルバースキンを1杯分のお湯に溶かしているのですから、渋味がでない方がおかしいです。
実際には、この液体を数百倍に薄めたものが、本当の意味でコーヒー1杯当たりに含まれるシルバースキンの渋味ということになりますよね。
さらに、こんな比較実験も。
比較実験その②
用意した銘柄は、エチオピア・イルガチェフェ30g。
※きゃろっとでも最も浅煎りの銘柄
②-1.中細挽きに挽いて、そのままのもの
②-2.中細挽きに挽いたあと、シルバースキンを飛ばしたもの の2種を用意しました。
できる限り同じ条件で淹れるため、下記の淹れ方のように注ぐお湯の量をスケールで計量しながら淹れました。
【抽出方法】
1.50mlのお湯を注ぎ、30秒蒸らしを行う
2.180mlのお湯をゆっくりと注ぎ、100mlになったら抽出を止める
3.できあがった100mlにお湯を200ml足し、完成
違い…、分かる?ほとんど変わらないよね。
よーく比べてみれば、シルバースキンのない方が、さっぱりしているような気もするけど。
仮に、ブラインドテストをして、どっちだ!?って聞かれたら、答えられる自信ないよ。
うん、違いはないとっていいほどの違いだね。
チャフを飛ばすのは、実は結構な労力で、一度始めたら「まだ無くならない。」と少しストレスになるほど。
普段飲みのシーンで考えたら、あまり現実的ではないよね。
このように、よく飲み比べても、ほとんど違いは見ることができませんでした。
なので、毎日コーヒーを淹れるたびに、ここまでする必要はありませんよね。
ぼくたちのように、飲み比べる環境があって、さらによーく感じながら飲まないと分からないほど、わずかな違いです。
また、以前の比較実験では、抽出前半と後半を飲み比べた際に、後半のコーヒーには雑味が感じられました。
今回のシルバースキンの雑味や渋みを気にするよりも、抽出後半の雑味を出さない方が、美味しいコーヒーを淹れるためには、よっぽど重要なのです!
さらに、シルバースキンを飛ばした後のキッチンは、このような状況になりました。
悲惨です…
後片付けまで大変です。
コーヒーを豆から挽いたことのある方なら、一度は目にしたことがある「シルバースキン」。
完璧にクリーンな美味しいコーヒーを求めてこだわる方は、取り除いたほうがよりおいしく召し上がることができますが、 ご自身がコーヒーに掛ける余裕とのバランスが重要ですね。
どうぞあなたのライフスタイルに合わせて、コーヒータイムをお楽しみください。
この記事を書いた人
珈琲きゃろっとの生産管理をしている浅野です。
コーヒー屋だから知っていることやちょっとした豆知識など、みなさまのコーヒータイムにお役立ていただけるような情報をお届けします。
日々のコーヒー実験は、妻のバリスタさーやんと一緒に。仕事場でも自宅でも、いつもコーヒーの話ばかりしているコーヒーオタク夫婦が、きゃろっと的に検証していきます。
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