この記事は、2017年5月に実施したインタビュー記事となります
こんにちは。珈琲きゃろっとの大石です。
きゃろっとのコーヒーは全てスペシャルティコーヒーです。ただ、スペシャルティコーヒーであれば良いと思っているわけではありません。その中でも、より素晴らしいコーヒーを取り扱うため日々研鑽しています。
今回は焙煎人の内倉の味作りをきゃろっとで最も理解しているスタッフ、浅野大地にスポットを当てて、どんな風にコーヒーを想い、どんな風にコーヒーを選んでいるのかをお伝えしていきます。
珈琲きゃろっとの子守担当 浅野大地です。
よろしくお願いしまーす♪
コーヒーの買い付けって?
初めての海外ですから、やっぱり行く前は日に日に緊張が増しましたよ。
― そう笑って話すのは、昨年、今年とグァテマラ、ホンジュラス、コスタリカへコーヒーの買い付けに行った浅野さん。普段は大人しく、とても優しい彼ですが、そのアクティブな行動力は目を見張るものがあります。
やっぱり行ってみないとわからないことが、たくさんありました。
家族経営の農園やマイクロミル、コーヒーに対する考え、そして実際に管理している所がキレイかどうか。
あとは、様々な実験や検証により様々なプロセスが生み出されていることなんかも知ることができました。
そういう意味では、実際に産地へ行く事はとても意味がありますよね。
― 実際に現地で聞けた農園の方の話は一つ一つはとても勉強になったと言います。
例えば、ひとつの農園の中で標高の高い場所と低い場所では銘柄だけでなく栽培方法も違う。
そんな細かい事まで知る機会はなかなかありませんよね。
そんな風に大切に育てられたコーヒーを僕たちは日本で飲んでるんだと思うと一層うれしくなります。
― カッピングをして買い付ける銘柄を決めるのは、プレッシャーにはなりませんか?
やっぱり緊張しますよね。
きゃろっとのコーヒーとしてお客様に満足してもらえるか。
そこはすごく考えます。
内倉の追求するコーヒーの味、例えばクリーンカップでマウスフィールが良いなどですね。
それは、出来上がりのコーヒーをイメージした時には毎日飲みたくなるコーヒーの味だと思います。
だから、その点を基準にしています。
― 基準と言っても、味や香りなどの感じ方による評価ですよね。
しかも、慣れない環境下でのカッピングでブレすにそこを守り続ける事ができるのは、並々ならぬ努力と感性を感じます。
だけど、実際にカッピングしてから、日本に入港して、それからきゃろっとに生豆が納品。
それを焙煎して再度カップテストするまでは、ずっとドキドキしていますよ。
― その緊張感から解放される瞬間が、過去にありましたよね!
買い付け銘柄がお客様に届きはじめると、とても評判がよく、品切れの後もたくさんのリクエストをいただける結果になったことを覚えています。
ホント嬉しかったですね。それ以上にホッとしました。
― そう照れ臭そうに話す浅野さんは、海外への買い付けだけでなく、カップテイスターズやSCAJのローストマスターズチャンオンシップで北海道代表チームに所属して大会に出場するなど新しい事にどんどんチャレンジしています。 その原動力はなんでしょう?
自分の腕を磨くため、というのもあります。
やっぱり大会に出るとなると勉強やトレ ニングもしますし、そこから新しい発見に繋がることもありますから。
けど、個人的には他のコーヒー屋さんや業者さんとのつながりができることも楽しみです。
もちろん色々な情報交換ができることも楽しいのですが、きゃろっとを客観的に見れたり、今の環境に感謝できたりする事が刺激になりますね。
きゃろっとを知るために、きゃろっとの外にどんどんチャレンジの場を広げていく。
遠回りのようですが、自分を知るために最も必要な事です。
そして、それはきゃろっとのコーヒーをおいしくするために産地やコーヒー事情を知るという事にも共通していて、それができるからこそ浅野さんは海外への買い付けを任されています。
浅野大地ってどんな人?
きゃろっとで働く中で思っていること
僕が成長した分が、そのままきゃろっとの成長になる。
そんな思いがチャレンジすることの後押しになっています。
けど頑張っている、っていう感じよりも、もっと自然な感じでやっていますよ。
― 子供の頃からの環境が大きく影響しているとか?
子供の頃から自然の中で遊ぶのが好きでした。
父が春蘭を好きだったこともあって、雑木林に行ったり、蘭小屋で育成を見たり。
それがとても楽しかったんです。
大学進学の時、自分はそういう自然や生物、植物について学びたい。
そう考えて学校を選びました。
― 今の姿からは想像できませんが、卒業後は、地元農協で営業職に就いていたんですよね。
自然と向き合って作物を作る農家さんとのんびりお話をするのがとても楽しかった。
ゆったりとお茶を飲むのが一番得意でしたね。
その後、縁あってきゃろっとに入社した今も、自然が好きで、そこに携わる人が好きなところは基本的には変わっていません。
コーヒーの産地へ行くのが楽しみなことや、人との繋がりを楽しめることも、もしかしたらその部分に全部つながっているのかもしれませんね。
色々なところに出かけるのも好きなんです。
そういった点からも海外に買い付けに行かせて貰えることは、とても恵まれた環境だと実感しています。
チャレンジする気持ちを大事にしてもらえる。
チャレンジさせてもらえる環境は本当にありがたいです。
― きゃろっとのコーヒーを買ってくれているお客様のところに出向いたこともありましたね!
僕の実家が千葉県なんですが、千葉できゃろっとのコーヒー豆を使ってくれているお店があります。
だから実家に帰省した際に出かけて行ってみようかと。お客さまの所に行くのはそれがはじめてだったんですが、とても歓迎してくれました。
きゃろっとは北海道にありますが、遠く離れた千葉でも僕らのコーヒーを使って貰えている。
それってすごく嬉しい事ですよね。
家族と働くということ
実はきゃろっとに入ってすぐの時は、こんな風に自然な考え方をできなかったんです。
色々と覚えなければいけない事があったのはもちろんですが、一番困ったのは「何が良くないのかわからなくて、解決の仕方が見えてこない」時です。
それまでの仕事と違って、時間の使い方や自分がどうしたいのかを考えなくてはならなかったのですが、「仕事!」と思い込んでしまうと、不思議と上手にできなくて苦しくなりました。
― 考え方を変えるきっかけになったこととは?
当時仕事を教えてくれていた大輔君(焙煎人内倉)から「大切な友達から相談を受けても同じように考えるかい?」と言われてから、感覚が大きく変わった気がします。
それからは、視野が広がって全体が見えるようになって、どんどんコーヒーの面白さにはまっていきました。
そのことに気付かせてくれた大輔君には感謝しています。
そして、その事に気付かない間、ずっと話を聞いてくれていた(きゃろとのバリスタであり妻である)さあやんにもやっぱり感謝していますね。
話をする事で問題と向き合い続ける事が出来たし、その日教わったことを復習することにもなりました。
今でも家ではコーヒーの話、きゃろっとの話、スタッフの話など普通であれば「仕事の話」になるような事をずっと話題にしていますが、その時間がとても楽しくて、何より自然な時間なのが僕は嬉しいですね。
― きゃろっとの制作物やFacebookも担当していますね。
細かい所に凝り始めたらいつまでも追及してしまう性格なので、こだわりながら楽しく制作しています。
見てくれる人に僕の大好きなきゃろっとの魅力が伝わるように。さあやんからいつも優しくも厳しい指摘を貰いながら、この自然な雰囲気を伝えていきたいですね。
大切なものを守り続ける。その為に自分が成長する。
シンプルだけどなかなかできない事ですが、浅野さんは今日もその考えのもとチャレンジを続けています。
色んなこと聞いてみました—
― 忘れられないうれしいことは?
僕が買い付けてきたコーヒーに、うれしい感想をいただけたことです。
これは自信にも繋がりました。
もっともっとたくさんの方に、このコーヒーの感動を味わっていただきたいと思います。
― 挑戦する時はどんな気持ち?
挑戦したあとの事を、すごく考えます。
これをやったら、自分がどうなるか。
きゃろっとがどうなっていくか。周りにどんな影響があるのか。
結局、チャレンジすることが全てプラスに働くと思うので、思い切ってやってみます。
― 初めての海外の印象は?
やっぱり怖かったです。右を見ても左を見ても外国人ばっかり。
でも、不安を取り除くためにその要素をひとつずつ解消できるように準備をしてました。青年海外協力隊の経験のある妻からのアドバイスを素直に受けることで、自分の新しい可能性も見えてきた気がします。
― 教えたくないヒミツの場所はありますか?
車の購入を検討していた時、偶然入った中古車屋さん。
現在は、当時の場所からは移動して個人で営業をしていますが、かなりコアな車を取り扱っており、いつも長話をしてしまう男の秘密基地的な車屋さんです。
教えたくないというより、教えにくいかも笑
あなたにとってコーヒーとは?
― 大好きなコーヒーは?.
いつも迷ってしまうんですよね。どれも好きすぎて。
強いてあげるとすると、酸味と甘みのバランスが良いコーヒー。例えば、グァテマラが好きですね。
― コーヒーが飲みたくなる時は?
いっつも飲みたいです。
特にキャンプに行った時に適当に淹れたコーヒーが、絶妙に美味しい時があります。いつもはきちっと計量していますが、キャンプの時は目分量で淹れているので、またと同じ味にならないのも魅力です。
― コーヒーと一緒に食べるとしたら?
僕は甘いものが好きなので、やっぱりスイーツですね。
定番のチョコレートから、和菓子までなんでも。
甘いものを食べた時は「これには何があうかなぁ」と必ず考えてしまいます。